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振り向けば…
第42章 神の湯…
「なら、パイパンを止めて毛が生えてから俺がまた連れて来たろか?」
パソコンを調べながら悠真が聞いて来る。
無表情なその顔になんとなく寂しさを感じる。
「どっちでもええよ。」
悠真好みになりたかったのは私。
今更、それを否定されてまうと悠真にとっての私の存在意義が不安になる。
「予約が出来たから、温かい格好しろや。」
いつもの過保護で悠真が私の頭を撫でて来る。
既に浴衣には着替えてる。
「コート着たら大丈夫やろ?」
「少し歩くから、帰りに湯冷めするぞ。」
「大丈夫だよ。」
何度も着替えたくないと思う。
なんかの弾みでパイパンのまんこが親や兄弟にバレるのだけはお断りです。
私の気持ちを察したのか悠真が鞄から長袖のTシャツを出して来る。
「ヒートテック…、来夢用に買うといた。せめて浴衣の下に着てくれや。」
そこまで言われたら悠真に従うしかないと思う。
浴衣の上半身だけを脱いで悠真に背を向けて悠真がくれた黒いヒートテックシャツを着る。
「なぁ…、来夢。」
そない言うて悠真が私の腰を引き寄せる。
「なんやねん?」
「……。」
私の肩に額を乗せた悠真は黙ったまま。
「お父さんらが帰って来たら困るやろ。」
そう言うて悠真を突き放す。
お父さん達にはまだ悠真との関係を説明出来ない。
だって私は悠真の家族ではあっても恋人じゃない。
悠真も私もお互いが背伸びをして焦る時代はもう終わった年齢になった。
悠真自身が決心する年齢に…。
私自身が悠真に寄り添う覚悟が必要な年齢に…。
その段階の1歩手前で私も悠真も立ち止まったままの状況が未だに続いとる。
「行こうか…。」
軽く私の頬にキスをして悠真が私の手を握る。
そのまま2人で部屋を出て旅館を出る。
悠真の大きな手。
その手を離したくないと願う私がそこに居た。