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振り向けば…
第5章 悔しいけど…
真面目な副委員長…。
大学推薦に有利だろうとやってる役職。
この役職もしっかりと定着したから悠真との関係はクラスの子達にはバレないはず。
それでも悠真が時々、私にちょっかいを掛けて来る。
私はそんな悠真を叱るかスルーする。
「来夢って…、悠真には冷たいんだ。」
美保に言われて微妙に困る。
「そうかな?」
「同じ中学でしょ?その割りに冷たいよね?」
「悠真が変態過ぎるからね。」
「それは言えてるー。」
美保がケラケラと笑う。
夏が近付き、ますます悠真どころじゃなくなった。
日曜日だけど地方大会がある。
ここでも、うちの水泳部だけが待ち時間に呑気にパラパラを踊ってる。
だけど…。
「ぐっさんのバタフライ…、マネージャーも掛け声よろしく。」
とこんちゃん先輩に言われた。
「掛け声?」
意味がわからない。
溝口先輩がコースの飛び込み台の上に立つ。
「よーい…。」
とスターターの人がピストルを鳴らした瞬間だった。
「「「おおぉぉー…。」」」
と地鳴りがするような掛け声があちらこちらから始まった。
お次はバタフライのジャンプに合わせて
「「「セイっ!セイっ!セイっ!」」」
と掛け声を送る。
そしてターンにまた
「「「おおぉぉーっ!」」」
「「「セイっ!セイっ!セイっ!」」」
と合唱のような掛け声が続く。
余裕でトップゴールした溝口先輩に凄い声援が湧き上がる。
「凄い…。」
如何にも部活をやってますという雰囲気を初めて体験した。
高校野球に熱くなる人達の気持ちが理解出来る。
スポーツって皆んなが1つになるような感覚を与えてくれるのだと思う。