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振り向けば…
第44章 これは現実…
旅行の翌日に私は近所のファミレスで針の筵に座る気分に立たされる。
「さぁ…、白状して貰おうか?来夢…。」
中学時代に私を壁ドンして脅した木村さんは今も変わらずに健在である。
しかも、私に対する扱いは大人しい優等生の『森本さん』ではなく、悠真と隠し事ばかりを目論む怪しげな女『来夢』という扱いに変わってる。
「今更、照れる事ないのに…。」
内海さんがクスクスと笑いながら私の答えに期待する顔を向けて来る。
残念ながら2人の期待には答えられないとため息が出てまう。
嘘を言うても虚しいだけ…。
かと言うて悠真の不眠症の事などを下手に話す訳にもいかない。
これ以上、他人から同情の目を向けられたら悠真がますますおかしくなる。
中学からの同級生である木村さんと内海さんには今も変わらずに『アホの悠真』というイメージで居て欲しいと思う。
「だから…、私は悠真が何を言うたか聞いてないし、全く覚えてないんよ。」
あの日の翌日の私は二日酔いで最悪だったという話だけを説明する。
「けど、今田ははっきりと俺の女って言うてたで?」
木村さんが疑いの目を私に向ける。
「それが事実なら…、そりゃ、まぁ、多少は嬉しい話ではあるけどさ。私が悠真にその事実を確認したら、あいつってば『俺、そんな事言うたっけ?』とか言いやがったもん。」
私はひとまず作り話で私と悠真に全く進展はなかったのだと言い訳をする。
「来夢は…、やっぱり悠真が好きなの?」
妙に優しい笑顔で内海さんが聞いて来る。
内海さんの方こそ、まだ悠真が好きなんじゃないの?と私が聞きたい。
でも、それを聞くと傷付く自分が怖くて聞けない。