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振り向けば…
第44章 これは現実…



だから素直に答えるしかない。


「うん…、多分、好きだと思う。そうじゃなきゃ20年も傍には居られないよ。」


私の気持ちだけははっきりとさせておく。


「じゃあ…、今は来夢の片思い?」

「みたいなもんかな?」

「じゃあさ…、その…、拓也さんはもういいの?」


聞き辛そうに顔を歪めて内海さんが聞いて来る。

木村さんの方はニヤニヤとして内海さんを見る。


「拓也さん?」


わざとらしくとぼけてみた。


「来夢ぅー、あんた…、大学ん時は拓也さんとも付き合うてたんやて?あの後、内海さんが拓也さんとええ感じになったさかいに拓也さんからも色々と昔話を聞いたんや。」


木村さんの意地悪な言い方にタジタジと狼狽える。


「つっ…、付き合うてたもなんも…、私は拓也さんに振られたって結果やし…。」

「らしいなぁ…、拓也さんも僕が傷付けた人って言い方してたし、今田と来夢がくっ付いたなら、それでええねんって感じやったわ。」

「それで…、内海さんは?」


私の話を逸らすように内海さんの方へと話を振る。


「別になんにもないよ!?家まで丁寧に送って貰うただけやし…。」


真っ赤になって俯く内海さんを可愛いとか思う。

もしも悠真が誰かに取られるとかいう話なら考える事すら嫌なのに…。

相手が拓也さんだとわかると何故か内海さんを応援したくなる気持ちが湧いて来る。

とても、いい人だったから…。

古い恋なんか忘れて新しい恋で幸せになって欲しいと願う人。

今の内海さんなら間違いなく拓也さん好みの素敵な女性だと思う。


「私はさぁ…、拓也さんにいっぱい背伸びをして自分を偽って来た覚えしかないの。」


そんな話を木村さんと内海さんにする。


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