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振り向けば…
第47章 20年分の信頼…
会社には普通に出勤をする。
萌奈さんの件で疲れてるから会社の人達に見せてはいけないため息が出る。
「森本さん?」
私に報告書を持って来た岩谷さんが不思議そうに私を見る。
今年は唯ちゃんは母親のところに行かなかった。
唯ちゃんが彼氏が居る母親と会うのを嫌がったのだと岩谷さんから聞いた。
「森本さんは彼氏となんかありました?」
岩谷さんがクスクスと笑う。
悠真を彼氏と認めるべきかを悩む。
だけど悠真と私の関係はもはや一般的には恋人にしか見えないのだろうとも思う。
「まだ…、はっきりとはしないけど…、ストーカーみたいなのが押し掛けて来てて…。」
簡単にだけ萌奈さんの事を岩谷さんに話す。
唯ちゃんの話を聞く分、岩谷さんには悠真との話をするようになった関係。
「ストーカーですか…。」
岩谷さんが厳しい顔をする。
「断定は出来ないけど…。」
「でも、なんか危ない人が増えた時代ですからね。今田さんならしっかりとしてるから大丈夫だとは思いますけど、気を付けて下さいね。」
「ありがとう…。」
「なんかあれば僕にも連絡を下さい。そういう事は周りの人に頼るのが一番ですよ。」
「うん、そうします。」
危ない時代だからこそ、信用が出来る人とは連絡を取り合って助け合う時代だと岩谷さんが言う。
私の周りには私を助けてくれる人がちゃんと居ると感じるだけでも気持ちが安らいでいく。
他人を拒絶する悠真でも数少ないそういう人が居るから大丈夫だとは思う。
弁護士の井上さん…。
おばちゃんの彼氏の藤井さん。
うちのお父さんやお母さん。
私と悠真はちゃんとまだ家族や友人に守られてると思うから私のパニックは起こらない。