この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第47章 20年分の信頼…
連休の中日は暇なだけの会社。
今年は社長さんが旅行中だからと専務さんがお留守番の役目をする。
「暇だから、早く帰ろうか?」
とにかく早く会社を閉めて早く休日に入りたがる専務さんだから昼の3時過ぎには仕事が終わり皆んなで帰る事が決定する。
確かに専務さんが2代目になると不安な会社かも?
出勤してた宮崎さん達と笑いながらそんな話をしてから会社を出た。
早く帰れる。
悠真も今日は仕事が終わると言うてた。
普段なら喜ばしい状況にご機嫌で帰るだけなのに…。
小さな不安が頭から離れない。
悠真のマンションのエントランス前で辺りを見渡して確認をする。
あの長い亜麻色の髪が見当たらないだけで安堵する私が居る。
恋人の家に帰るのに怯えながら帰る女って世界中で私くらいじゃないの?
そんな愚痴を言いたくなる。
ため息をついてエントランスを抜けてからエレベーターに乗り込む。
この先は安全だという油断…。
エレベーターを目的の階で降りて悠真の家に向かうマンションの廊下を歩く。
まさかと私の心臓が止まりそうになる。
悠真の家の門の前には亜麻色の長い髪が見えたから…。
こんな所にまで…。
怒りが湧いていた。
「何をしてるの?」
私から萌奈さんに向かって叫んでた。
私を見下ろして馬鹿にしたように見る萌奈さん。
「昨日も言ったけど、大事なイヤリングを失くしたのよ。それを取りに来ただけよ。」
「そんな物はないわ。」
「だから、それを確認させて欲しいだけよ。」
「悠真が言うたやろ?ここには2度と来んなって…。」
私の言葉に反応するように萌奈さんの綺麗な顔が歪み鬼のような形相へと変化を見せる。