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振り向けば…
第50章 寝るな…
食事はお土産物屋が並ぶ通りで、よくある蕎麦屋に入った。
蕎麦を食べながら悠真に聞く。
「1人になりたくないから私と居るの?」
不安な事はストレートに聞く。
遠回しな言い方や飾られた言葉はストレートな悠真には通用しない。
「そんなんちゃうわ。俺が俺で居られるからお前と居たいと思うんや。」
悠真が吹き出して笑い出す。
「悠真が悠真?」
「お前には今更、隠し事とか出来へんし、カッコつける必要もない。」
「それって楽だからに聞こえる。」
「そうとも言う。だけど、ただだらけた楽って意味じゃない。楽やと幸せ的な物を人は感じるやろ?例えば温泉に入ると一気に疲れが流されるような感覚。」
「ふむふむ…。」
「そりゃ、親しき仲にも礼儀有りやから、多少の気は使う必要はあるやろうけど、無理矢理に緊張感のある気の使い方なんかしたくない。」
「ふむ…。」
「そうやって考えたら、お前となら旅行するにしても映画に行くにしても、普通に生活をするにしても俺には楽ってだけで幸せやと思う。」
人の気持ちがわからない悠真は自分の人間関係では普通の人以上に気を使う。
その気遣いで生まれる悠真の激甘を感じた女の子が大学時代は多数の子が悠真に群がった。
悠真はただ悠真なりに普通に気を使っただけなのに…。
あの頃はそれを全くわかってなかった自分に悔しくて悠真に悪い事したと反省する。
満たされる時間…。
お互いがそれを感じた時に一緒に居たい相手として選ぶのだと知る。
それがたわいのない会話だけの時間でも構わない。
身体だけの関係が愛情の全てじゃない。
お互いの心が幸せだと満たされ時に、初めて一緒に居たい存在になるのだと知る。
きっと悠真とならそれが出来る。
まだまだ私が嫌な思いをする事はたくさんあるかもしれない。
それでも悠真となら最後は2人で笑うて乗り越えられる気がした。