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振り向けば…
第54章 七夕だから…



頭の中が真っ白になる。


「お前が前に聞いたよな?絶滅するかもって時に来夢以外の女を抱けるかって…。」


悠真が私の顔を撫でる。


「無理や、震災で避難勧告とか出まくってる状況でもお前は俺すら見ずに他人の為にと走り回る女や。そんな女なら簡単に行方不明になるとか考えたら俺がお前を探してやるしかないけど、俺にはその権利がないってやっと気付いたわ。」

「悠真?」


なんかええ事言うてるけど悠真の手は何故か私の作業服を脱がせてる。


「だから悪いけど来夢は俺と結婚して貰う。NOは聞くつもりはないからな。」


あっという間に作業服の下に着てたシャツを剥ぎ取られた。


「ちょっと待て!悠真っ!」

「待たん。俺と結婚するって今すぐに決めろ。」


何故、こんなに極端なんだ?

私を傷付けるからと恋人として付き合う事すら躊躇ってたくせに…。

地震や洪水の危険をリアルに体感した悠真は考え方を180度変えて来る。

映画では理解が出来なかった悠真。

災害をリアルに実感した事で龍平おじさんの時のように私も失うかもしれないという恐怖を再び味わったらしい。


「悠真っ!とにかくちゃんと話し合おう!」


ひたすらジタバタを繰り返し私は悠真を説得する。


「問答無用やろ?」


悠真がニヤリと笑う。

絶対にこんなプロポーズを認める訳にはいかないと私の理性が叫んでる。

違和感だらけのプロポーズ…。

悠真はそういう奴だとなんとなくは納得をしてても許せないし、許してはいけない。

悠真が私の顔にキスをしながらブラジャーのホックを外した。


「やだって!」


悠真を蹴飛ばすようにして悠真の上から飛び退いた。


「来夢…?」

「とにかく、話し合う!」


小さな胸を隠すようにして腕で抱きしめながらリビングの床にへたり込む。

話し合わなければ悠真のおかしな理論の世界に引き摺り込まれてまう。

叫ぶ私にニヤニヤと嫌な笑顔を見せるだけの悠真がそこに居た。


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