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振り向けば…
第54章 七夕だから…
なのに悠真は寝転がったままぼんやりと天井を眺め続ける。
そして…。
「あんな、来夢…、俺達…。」
やっぱり恋人としての付き合いを無理だと悠真が言うのかと思うた。
心臓がドキドキとする。
聞きたくないと思う。
私が悠真から顔を背けた瞬間
「結婚せえへんか?」
ゆっくりと悠真が呟いた。
「へ?」
「だからな、俺と結婚しようや。」
ひたすら天井を眺めたまま、のんびりと悠真が言う。
それはプロポーズをしてるつもりなんか!?
またしても違和感だらけのプロポーズ…。
お前という奴は…。
私の顔すら見ずにコンビニでプリンでも買うたるわ的なノリで私に結婚を言う男に腹が立つ。
ソファーに寝転がった悠真を跨いで悠真の腹に乗り悠真の胸ぐらを掴み叫ぶ。
「お前!結婚するってちゃんと意味とかわかっとんのか!?」
私の叫びにやっと悠真が私を見る。
しかも露骨に嫌そうな顔をして…。
「お前、そんなに俺の事をアホやと思うとる?」
悠真が口を尖らせた。
アホやんけ!
私はそう叫びたい。
「もしも本気で言うてんねんやったら、ほんまのアホやぞ。」
「本気に決まっとるやんけ。」
「だったらプロポーズくらい、まともにしやがれ!そもそも、なんでいきなり結婚やねん!」
「結婚せな俺がお前を探されへんからやろ?」
「はぁ?」
「井上にも確認したわ。俺とお前が結婚せん限りはなんぼ家族や言うても他人なんや。もしも地震とかの災害でお前と逸れても俺が他人である限りは俺がお前を捜索する権利はないんやぞ!」
悠真が発狂した。
発狂したいのは私の方だ。
有り得ないプロポーズ…。
違和感だらけのプロポーズ…。
愛してるからじゃない。
本物の家族になりたいからとプロポーズをする悠真に混乱する。