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振り向けば…
第56章 仕事やから…



お母さんと無言のままダイニングテーブルを挟んで座ってた。

お父さんはひたすらタバコを吸い続ける。

時間だけが無駄に流れるから私は苛立ちを隠せない。


「悠真の話って…。」


私からお母さんに切り出してもお母さんは肩を竦めるだけで苦笑いをやめようとはしない。

ここは、やはり…。

テーブルを離れてリビングのソファーに座るお父さんの足元まで移動する。

私がお父さんの足元に座ればお父さんがようやく私の顔を見てくれる。

タバコの煙を吐き出す口からはゆっくりと


「お前、またお父さんらにちゃんと言わなあかん事を忘れてないか?」


と嫌味が出た。

先に言わなあかん事?

悠真にストーカーが出た事か?

いや、その問題はとっくに終わっとる。

その後は悠真の口から私と悠真がそういう関係やと説明済みなんやから、それ以上の話をお父さんに言うてないとか言われても思い当たらん。


「何の事?」

「ほー…、とぼけんのか?」

「とぼけてへんもん。」


お父さんの嫌味の意味が全くわからん。

しかも、かなり不機嫌や。


「逆に聞くけど、一体、何があったん?お父さんが知りたい事なら全部話すよ。家族に隠し事する気なんかないからね。」


優等生の言葉をお父さんに言う。

今までの信用は伊達じゃない。

ただ、私の質問に対するお父さんの返答に私の優等生はあっけなく崩れ落ちる。


「今朝、いきなり悠真が来てな。来夢を嫁にくれって言いやがった。お前、悠真とそこまで話しを進めてたなら先にお前からお父さんに言わなあかんとは思わんかったんか?」


私を品定めするようにお父さんがじろりと見る。


「なんやって!?」


不機嫌なお父さんにマヌケに叫ぶ私だった。


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