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振り向けば…
第57章 主婦って…

しどろもどろになる私を玲奈さんがケタケタと笑う。
「悠真らしいプロポーズやん。単純に家族になりたいから結婚してくれって…。」
違和感だらけのプロポーズの部分から説明をすれば予想通りに玲奈さんが爆笑してくれる。
「問題はその後です。」
「なんや?来夢は結婚したくないんか?」
「私じゃなくて、うちのお父さんが反対するんですよ。玲奈さんの時はどんなでした?」
「どんなって、大学ん時から章はうちの家族のお気に入りやったから結婚とか『ああ、そうか。』って感じだけですんなりとやったで。」
「うちもそうやと思うてたのに…。」
「そうやんな。来夢と悠真ってずっと家族やったんやろ?結婚するって話自体が今更な気がするわ。」
その今更をお父さんが許してくれない。
挙げ句に腕相撲で勝負を決めようとしてるとか呆れた話を玲奈さんにすれば玲奈さんはひたすら大笑いを繰り返す。
「お父さん…、ウケる。」
ウケ狙いで結婚を反対されても私には迷惑だ。
「やっぱり…、反対する理由をお父さんに聞くしかないんじゃないの?」
しごくまともな事を玲奈さんがアドバイスとして言うて来る。
「はぐらかされて終わりです。」
「うーん…、付き合いは反対してないんやろ?なら来夢か悠真のどちらかになんかがあるんやな。」
「それがなんなのかがわかんない…。」
「その答えを自分達で見つけろって事やない?」
「玲奈さんはなんやと思います?」
「2人に足らんのって…、情熱?」
ふざけながら玲奈さんが笑う。
「情熱って!?」
「だって2人とも私が知る限りはやたらと冷静で模範的にしか見えへんもん。結婚ってさ、なんて言うか勢いみたいなのが必要やん。」
クスクスとまだ笑う玲奈さんを恨めしく睨みながら玲奈さんとご飯を食べる。
冷静で模範的?
そんな2人じゃ結婚したらあかんの?
私だけがため息を吐き玲奈さんとお父さんの攻略を話し合うものの、結局は答えなど出ずに玲奈さんを家まで送り私は我が家へと帰るだけになった。

