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振り向けば…
第58章 それは反則だから…
「なぁ、今年のお盆休みはどうすんの?」
毎日毎日、懲りる事なくお父さんに腕相撲を挑んでは負けてる悠真に聞いてみる。
私の質問に一瞬で悠真が情けない顔をする。
「あー…、オッチャンに勝てるまで無理やろ?」
お盆休みも腕相撲の為に我が家に通うつもりの悠真を蹴飛ばしてやる。
「もう、お父さんの事は放っとけ。」
「そうはいかんやろ?」
「やっぱり、おばちゃんみたいに家出をするしかないんかなぁ?」
「その必要はないやろ…。」
悠真はただ穏やかに笑うけどせっかちな私は落ち着かない。
そろそろ1ヶ月近くを悠真はお父さんのところに通うてる。
まさか、お父さんの時みたいに悠真にも土下座をさせたいのだろうか?
そこまでを悠真にはさせるつもりがない私。
「明日も無理なら、もうお父さんとは口聞いたれへんねん。」
「そう言うたるなや。」
悠真と2人で晩ご飯を食べながらそんな会話をする。
久しぶりに悠真の家での食事。
最近はずっと悠真が我が家に来るから夕食は我が家のお母さんのご飯という日が続いてる。
「しいたけの煮染めは来夢よりもおばちゃんの方が旨いな。」
そう言うた悠真をまたしても蹴飛ばしてやる。
「来夢…、足癖が悪い…。」
「悠真が悪いんやろ。」
「すみません、ごめんなさい。以後は必ず気を付けます。」
「嘘つけっ!」
いつもと変わらない冗談でも私だけが落ち着かない。
悠真は余裕の顔をする。
「悠真はこのままずっとお父さんに反対されてても心配じゃないんか?」
「オッチャンにはオッチャンの考えがあるんやろ。俺としては今んとこ毎日の来夢の状況がわかるから別に何の心配もしとらんぞ。」
すぐに冷める悠真だから結婚自体の話がなかったみたいに消えるかもと私だけが不安を感じてる。