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振り向けば…
第58章 それは反則だから…
てか、私の状況ってなんなんだ?
最近は天気が良いお陰で外構工事の現場に走り回る為にやたらと忙しい。
それはうちのお父さんも同じらしく、ひと月前の大雨で空き家などの崩れかけた物件の解体依頼が殺到してるからと岡山や北九州などの災害現場に駆け付ける余裕がないと言うてた。
「オッチャン…、やっぱり…、えぐいよな。」
悠真が感心したように言う。
「何が?」
「毎日、現場で仕事してボロボロになって帰って来んのに、何もしてへん俺は勝たれへん。」
「たかが腕相撲やん。力とコツの問題やろ?」
「ここ最近の来夢は疲れ切って帰って来て、飯、風呂、寝るで終わらせてまうやんけ。」
「あんな体力の塊みたいな化け物オッサンと一緒にせんといて…。」
「へーへー。」
悠真がええ加減な生返事をする。
だから私は悠真を蹴飛ばす羽目になる。
「だから…、人をサッカーボールみたいにポンポンと蹴飛ばすな。」
「悠真が生返事とかするからやろ!」
「事実を言うただけやんけ?俺は俺なりにオッチャンの攻略を考えてんのにお前は仕事仕事で俺の事なんか見向きもしてないやろ。」
いつもの悪い癖がお互いに出てまう。
物事が上手くいかないとお互いが八つ当たりをして喧嘩に発展する関係は今も変わらない。
この危うい関係をお父さんが認めてくれない可能性を考えずに私は言うてはいけない言葉を口走る。
「そうやな。今は仕事があまりにも忙しくて悠真と喧嘩してる暇すら惜しいわ。」
「ほー…、サラリーマンは大変やな。」
完全に頭に来た。
悠真は夏のバカンス時期だからと今はほとんど仕事をしていない。