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振り向けば…
第7章 いつか連れてったる…
「悠真とちゃうから風邪なんかひけへんわ。」
「それは自分をアホやと認めてるって事か?」
アホは風邪ひかない。
「いや、やっぱり風邪ひきます。」
「そうやろ?」
悠真のブレザーを頭からすっぽりと被って雪の中で立ち尽くす。
ただ悠真は私に寄り添うように立ってる。
「積もるかな?」
「大阪やから無理やろ。」
「真っ白で何も無い世界に自分の足跡だけを付けてみたいな。」
「そういう場所に、いつか連れてったる…。」
真っ白な世界に悠真と2人…。
それも悪くないなとか思った。
翌日、悠真が風邪で寝込んだ。
「アホか?お前は?」
悠真の家でお粥を作ってやる。
「アホちゃうから風邪ひいたんやろ?」
熱でガタガタと震える悠真に呆れてまう。
あれから自転車で帰るのに私にブレザーを着せたから悠真はシャツにセーター1枚という姿で雪の中を家に帰った。
その結果が38度の熱…。
「アパート…、寒いから、耐えられへんならうちに連れて来いってお父さんが言うてる。」
「来夢のベッドに寝かせられるんか?」
「お前は床で布団じゃ!」
「寒いけど…、アパートでええ…。」
そう言うて布団の中で私を抱きしめる悠真が居る。
「俺が寝るまで湯たんぽ代わりをしてくれ。」
悠真が熱でポカポカしてるから私まで眠くなる。
結局、悠真のお母さんが帰って来るまで悠真と仲良く眠ってた。
悠真には彼女は居ない。
1年生の女の子が作るお弁当がなんだったのかはわからない。
ただ私の腕の中で眠ってくれる悠真に彼女は居ないのだと確信だけは持てた。