この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
振り向けば…
第7章 いつか連れてったる…
部活でその子が
「自分の為だと朝は起きられないけど彼氏の為なら起きられる。」
と言うてたと現在部長になった美保が言うから悠真にはまた近寄らなくなっただけだ。
別に悠真が居なくとも私の生活は変わらない。
いや、1つだけ変わった。
「ああ、雪だ…。」
滅多に雪が降らない大阪で学校から帰ろうとすると雪が吹雪き出す。
自転車だからやだな…。
校舎の出口を出て自転車置き場に行く途中にそんな事を考える。
正門に向かって学生達が歩いてる。
その中に見覚えのある背中を見つけた。
溝口先輩…。
先輩が幸芽先輩の肩を抱いて歩いてる。
こんちゃん先輩が私の教室に日下先輩と現れて幸芽先輩との事を聞かされる。
「ぐっさん…、大学は全て失敗した。それを来夢のせいやとか思うてる。」
「私のせいですか?」
「来夢が隠れて悠真君と付き合ってるかもってずっと悩んでた。だけど、それと大学を落ちたのは関係ないんやけどな…。」
こんちゃん先輩が苦笑いをする。
こんちゃん先輩は明日香先輩と仲良く同じ大学に進んだ。
溝口先輩はあくまでも私とは自然消滅だと言って幸芽先輩と付き合い出した。
「なぁ…、来夢。来年、待ってるぞ。」
日下先輩が私にそう言うてくれる。
先輩は私が行きたい大学に合格した。
「来年、必ず行きますから。」
こんちゃん先輩も日下先輩も優しく笑ろうてくれる。
だから今更、溝口先輩の背中を見ても悲しくなんかないのに…。
皆んなが正門に向かって歩く中で私だけが足が竦んで立ち止まる。
頭に何かが乗った。
「重っ…。」
男子のブレザー…。
「風邪ひくぞ。」
悠真の声がした。