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ハプニングは突然に【完】
第5章 ハプニングは突然に
新堂さんのおうちまで、タクシーにのって帰ったのだけど、車中も彼はずっと、私の手を繋ぎっぱなしだった。


会話はなく、お互いに車窓の景色を眺めながら、繋いだ手からお互いの体温と気持ちを確かめ合う


そんな感じだった。


私は、新堂さんのおうちに部屋着や仕事着、普段着などを何着かクローゼットに掛けていて(もちろん新堂さんがそうしなさいって言うからだけど)、新堂さんのおうちにつくと早速部屋着に着替えて、晩御飯の支度に取りかかることに…


「あ!行くって言ってたのに、買い物に行くの忘れちゃってた!」


冷蔵庫を開けると、飲み物しか入っていなくて慌てて気付く。


新堂さんが、スーツのネクタイを緩めながらこちらにきて



「ゆり、今日はデリバリーにしよう。君も僕の子供っぽい行動のせいで買い物投げ出してきたんだろ?」


と、ゆっくり笑った。



でも、笑顔が少し悲しそうで


「…新堂さん。」

と、呼ぶと


「彼と話していて、気付いた。俺だって彼の行為となんら変わらないんだ。最初は、ただただ君を傷つけてしまった。」


「…でも!私の好きがただ漏れだったからじゃないですか!!」
新堂さんに近づいて、背の高い彼の頬にそっと触れる。


「…ゆり。」泣き出しそうな彼の顔を見て、キュンと切ない気持ちになる。



「確かに、最初はお互いの連絡先を交換するところから始めるべきですけどね。」
と、ほっぺをむにっとつねってみると


「…ハハ、これがもしかして罰なの?」
と、笑う。


「こんなものじゃないですよ!私の肩をもんだり、沢山愛の言葉を囁いてもらったり、ぶ、ブランド物のバッグや指輪も買ってもらいます!」


「ゆりのためなら、お安いご用だ。」


「え!!い、いいんですよ!冗談です。」


慌てていると、ぎゅっと抱き締められた。


「…ゆり、ありがとう。」


「え?」


「…僕の目の前に現れてくれてありがとう。」







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