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旧家のしきたり
第2章 嫁試し
御三家とは、蔵森家の分家で、代々蔵森家を支えてきた重鎮たちだ。蔵森家の当主を社長とすると役員にあたる。
しばらくすると、男性2人と女性1人が入ってきた。
1人目の体格の良い40代の男性は、清吾といって代々蔵森家の大番頭を務める大森家の当主だった。温厚実直な性格で、母の信頼も厚い。僕は幼い頃から清さんと呼び、何かと面倒を見てもらっていた。
2人目のキツネ目の男は、安彦といって代々蔵森家の経理を務める小森家の当主だった。僕と同い年とまだ若いが、先代が病気になり1年前に家督を継いだ。ねちっこく狡賢い性格で僕は昔から大嫌いだった。
3人目の色白でほっそりした女性は、亜希子といって代々蔵森家の奥頭を務める花森家の当主だった。僕よりも5歳年上の彼女は、僕にとっては実のお姉さんに近い存在で、小さい頃はよく遊び相手をしてもらった。
母が美穂をみんなに紹介し、「これから『嫁試し』を行います」と告げると、3人は一様に驚いた表情を浮かべた。
「奥様、それは本当ですか? 坊ちゃんたちに『嫁試し』を行うんですか!?」
清さんが声を上ずらせながら尋ねると、母は無言のまま大きく頷いた。
「本当によろしいのですか? 奥様は、それで大丈夫なのですか?」
「結構です。私のことを心配する必要はありません。あなたたちには、あなたたちの役目をしっかりとやってもらいますので、よろしく頼みます」
清さんは、困ったという表情をして顔を曇らせた。反対に安彦の表情は明るい。笑みがこぼれるのを必死に抑えているようだ。亜希子さんはというと、心配そうな表情で僕と美穂を見つめている。
これから何か重大なことが、僕と美穂の身に起こるらしいことは想像できた。心の中で不安が広がる。美穂も不安げな眼差しを僕に向けた。
しばらくすると、男性2人と女性1人が入ってきた。
1人目の体格の良い40代の男性は、清吾といって代々蔵森家の大番頭を務める大森家の当主だった。温厚実直な性格で、母の信頼も厚い。僕は幼い頃から清さんと呼び、何かと面倒を見てもらっていた。
2人目のキツネ目の男は、安彦といって代々蔵森家の経理を務める小森家の当主だった。僕と同い年とまだ若いが、先代が病気になり1年前に家督を継いだ。ねちっこく狡賢い性格で僕は昔から大嫌いだった。
3人目の色白でほっそりした女性は、亜希子といって代々蔵森家の奥頭を務める花森家の当主だった。僕よりも5歳年上の彼女は、僕にとっては実のお姉さんに近い存在で、小さい頃はよく遊び相手をしてもらった。
母が美穂をみんなに紹介し、「これから『嫁試し』を行います」と告げると、3人は一様に驚いた表情を浮かべた。
「奥様、それは本当ですか? 坊ちゃんたちに『嫁試し』を行うんですか!?」
清さんが声を上ずらせながら尋ねると、母は無言のまま大きく頷いた。
「本当によろしいのですか? 奥様は、それで大丈夫なのですか?」
「結構です。私のことを心配する必要はありません。あなたたちには、あなたたちの役目をしっかりとやってもらいますので、よろしく頼みます」
清さんは、困ったという表情をして顔を曇らせた。反対に安彦の表情は明るい。笑みがこぼれるのを必死に抑えているようだ。亜希子さんはというと、心配そうな表情で僕と美穂を見つめている。
これから何か重大なことが、僕と美穂の身に起こるらしいことは想像できた。心の中で不安が広がる。美穂も不安げな眼差しを僕に向けた。