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旧家のしきたり
第1章 プロローグ
東京から遠く離れ、四方を山で囲まれた人口3千人ほどの小さな町に僕の実家はある。
蔵森家――400年続く旧家だ。
昔は林業、今はリゾート経営を中心に学校や病院など手広く事業を行っていて、この地方に大きな影響力を持ち続けていた。
現在、家は母の静子が仕切っている。20年前、父が癌で亡くなったとき、まだ幼かった僕に代わって蔵森家の当主を引き継いだ。
小さい頃から僕は、この母が苦手だった。和服が似合う美人なんだけど、とにかく厳しい。何かというと家のしきたりを持ち出しては、「あなたは次の当主なんですよ」と僕は叱られてばかりいた。それが嫌で東京の大学を卒業しても家には帰らずに、そのまま勝手に就職してしまったくらいだ。
その就職先で僕は美穂と出会った。
蔵森家――400年続く旧家だ。
昔は林業、今はリゾート経営を中心に学校や病院など手広く事業を行っていて、この地方に大きな影響力を持ち続けていた。
現在、家は母の静子が仕切っている。20年前、父が癌で亡くなったとき、まだ幼かった僕に代わって蔵森家の当主を引き継いだ。
小さい頃から僕は、この母が苦手だった。和服が似合う美人なんだけど、とにかく厳しい。何かというと家のしきたりを持ち出しては、「あなたは次の当主なんですよ」と僕は叱られてばかりいた。それが嫌で東京の大学を卒業しても家には帰らずに、そのまま勝手に就職してしまったくらいだ。
その就職先で僕は美穂と出会った。