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ディープフォレスト
第4章 言霊



――数年後。



「男子ばかりが産まれてくるわ」


出産の手伝いに集まった
婆の一人が嘆いて
エバーはクスクスと笑った。


「いつかここも、男子ばかりの森になっちゃうのかも」

「なんと。今度は女が滅ぶのか!」


婆達の憂いに対し
エバーは涼しい顔で
産まれたばかりの
我が子を撫でる。


「そうしたらきっと、フォレスト様から女の子が一人現れるわよ」

「なにを悠長な」


呆れたように
怒る婆のため息も
さほど気にはならない。

こどもたちと
狩りに行っていた
アキトが戻ってきた。


「調子はどうだ」

「今眠ってるわ」

「エバーの調子だよ」


苦笑いするアキトに
後ろで婆が呟く。


「のんびりじゃ。実にのんびりしておるわ!」


嫌みがこもっていたが
エバーはフフフと
笑い声をたてた。


過去に何があろうとも
未来に何が起ころうとも

現在を確かに生きるには
幸福であることを
目指さなくてはならない。


本当に必要なものは何か、

自分や誰かを
ないがしろにはしてないか、

出来ることはないか。


感謝の上に
成り立つ幸福を
明日に繋いで行きたいと

エバーは
子供らをみつめて願った。


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