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郁美の真実 〜妻を閉じ込めた魂の檻〜
第13章 〜別離〜
それから1週間ほどは郁美に離婚したくないとせがまれた。
私は郁美の尊厳を損ねることは言わず、ただ、淡々と離婚する意思は変わらないことを説明し続けた。
郁美はどうしていいかわからなかったのだろう。
けなげに、一生懸命凝った料理を作ってくれたり、先に休んでいる私の横に来てくっついて寝たりしていた。
可哀想だったが、私の意思は変わらないことを告げるばかりだった。
困った私は、使いたくない手を使った。
郁美に、離婚に同意してくれなければ、郁美の両親にUとの関係について、詳しいことを説明しなければいけなくなると伝えた。
もちろん、そんなことは死んでもするつもりはなかった。
嫌な手だったが、郁美は渋々離婚に応じた。
離婚の理由について、郁美や私の両親には、ある程度納得できる理由を説明する必要があった。
仕方なく、約3年間、郁美には私とは別に好きな人がいて、夫婦と同等の仲だったことだけを説明した。
私の両親はただ「そうか」とだけ言っていた。
親父はその頃、癌で闘病中で、孫の顔を見るのを励みにしていたので、ただ残念な知らせになり、親不孝をしてしまった。
郁美の両親は平謝りで、しばらくは郁美を許してやり直して欲しいと懇願された。
私は、郁美を恨んだりする感情はなく、郁美が他の誰かの支えを必要とすることになった私の不甲斐なさを謝罪し、離婚の意思はそれとは別に揺るぎないものであることを丁寧に説明した。
郁美の両親からも、なんとか離婚に理解をしてもらうことができた。
離婚の際の財産分与などについては、郁美側が全面的に私の提示した条件を飲んでくれた。
購入していた家のローンも全額郁美の家が引き受け、私は家から去ることにした。
もはやUに対し恨みなどはないが、けじめとしてUに内容証明を送り、慰謝料として80万円を請求した。
Uからはなんの反論もなく、謝罪の文書と示談書が送付され、示談書を返信すると請求通りの金額が振り込まれていた。
私は家を出るため、新しく住む場所を手配し、大方の荷物の搬送を終え、あとは離婚届を役所に持っていくだけになっていた。
なんとか、想定していたように、郁美と郁美の両親を必要以上に傷つけることなく穏やかな幕引きができそうだった。
しかし、最後にそうもいかない出来事があった。
私は郁美の尊厳を損ねることは言わず、ただ、淡々と離婚する意思は変わらないことを説明し続けた。
郁美はどうしていいかわからなかったのだろう。
けなげに、一生懸命凝った料理を作ってくれたり、先に休んでいる私の横に来てくっついて寝たりしていた。
可哀想だったが、私の意思は変わらないことを告げるばかりだった。
困った私は、使いたくない手を使った。
郁美に、離婚に同意してくれなければ、郁美の両親にUとの関係について、詳しいことを説明しなければいけなくなると伝えた。
もちろん、そんなことは死んでもするつもりはなかった。
嫌な手だったが、郁美は渋々離婚に応じた。
離婚の理由について、郁美や私の両親には、ある程度納得できる理由を説明する必要があった。
仕方なく、約3年間、郁美には私とは別に好きな人がいて、夫婦と同等の仲だったことだけを説明した。
私の両親はただ「そうか」とだけ言っていた。
親父はその頃、癌で闘病中で、孫の顔を見るのを励みにしていたので、ただ残念な知らせになり、親不孝をしてしまった。
郁美の両親は平謝りで、しばらくは郁美を許してやり直して欲しいと懇願された。
私は、郁美を恨んだりする感情はなく、郁美が他の誰かの支えを必要とすることになった私の不甲斐なさを謝罪し、離婚の意思はそれとは別に揺るぎないものであることを丁寧に説明した。
郁美の両親からも、なんとか離婚に理解をしてもらうことができた。
離婚の際の財産分与などについては、郁美側が全面的に私の提示した条件を飲んでくれた。
購入していた家のローンも全額郁美の家が引き受け、私は家から去ることにした。
もはやUに対し恨みなどはないが、けじめとしてUに内容証明を送り、慰謝料として80万円を請求した。
Uからはなんの反論もなく、謝罪の文書と示談書が送付され、示談書を返信すると請求通りの金額が振り込まれていた。
私は家を出るため、新しく住む場所を手配し、大方の荷物の搬送を終え、あとは離婚届を役所に持っていくだけになっていた。
なんとか、想定していたように、郁美と郁美の両親を必要以上に傷つけることなく穏やかな幕引きができそうだった。
しかし、最後にそうもいかない出来事があった。