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第9章 甘え方の問題

「っあ……やっ……あ、ん」

　繋がりが、深いからでしょうか。
　入って来ただけで激しく動いたりはしていないのに、ローゼルの体の奥の深い所から、震える様な悦びが抑えがたく込み上げて来ます。

「ん……んっ、ん……う」

　それはまるで蛇の様にうねりながら、足元からぬるぬると突き上げて来るようでした。
　どこにも逃がせない快感に絡め捕られたローゼルは、堪え切れずに体の下に敷かれたリネンを両手でぎゅっと握りました。

「やぁっ……このままは、ぃやぁ……あ！？」

　ローゼルの頼みを聞いたものか、それとは関係ないものか、ビスカスは緩く動き始めました。それはいつもの抜き差しする様な動きではなく、ぐりぐりと押し付ける様に互いの秘部を摩り付けながら小さく入り口を抉って擦る様な、執拗な動きでした。

「……っゃあ！あぁんっ、あ、ぁああん、んっ、あ、」

　擦られる度に声が口から漏れ続け、ローゼルは息すら上手に出来なくなりました。擦れ合う場所からもたらされる感覚は溜まり続けて膨れ上がり、ローゼルに涙を溢れさせました。

「んぁ……あ、やぁああ、あ！あ、なめちゃやっ……ん、あぁあんっ！」

　抱えられている脚に口づけられて、ぺろりと舐められ、ローゼルは悲鳴を上げました。
　繋がっている場所をしつこく擦り付け続けながら動物の毛繕いの様に何度も脚を舐められて、嬌声が止まらなくなりました。

「やぁああ、やぁっ、んっ、だめっ、やめっ……あっ、あ、んっ、ぁん、んんんっ……！」

　ローゼルの中で、ぱんぱんに膨らんだ何かが弾け飛びました。体は意志とは関係無しに細かく震え、口からは喘ぎ混じりの啜り泣きが漏れました。

「ゃ……いっ……う……ふ……」

　体に力が入らなくなったローゼルは、寝台に沈み込みました。リネンを握り締めていた手すら重たく感じられ、溢れ出た涙を拭う事さえ出来ません。
　不意に、力無く放り出された手の指が絡めら取られて、柔らかくきゅっと握られました。

「あ……ビス……ん……」

　どんな表情で手を握ってくれたのか確かめる間もなく、幾度も口づけられました。
　溺れた人が助けに縋る様に口づけを繰り返し受けている内に、ローゼルは少しずつ落ち着きを取り戻しました。

「ぁん……きもちい……え、っ」

　しばらくして唇が離れ、ぼうっと呟いたローゼルに、思わぬ事が起こりました。