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セイドレイ【完結】
第11章 部外者
一体なにを考えているのか。
たった今、なにを考えて自慰にふけってしまったのか。
亜美は急に、自分が恐ろしくなった。
とてつもない後悔と罪悪感が亜美に襲いかかる。
自らの指で絶頂を迎える瞬間、たしかに "あの男" の顔が頭をよぎった。
それは、亜美の処女を散らした男。
亜美の人生を滅茶苦茶にした、もっとも忌むべき男の顔だった。
(ダメ…しっかりしなきゃ。こんなんじゃ私…自分にさえ負けちゃう────)
亜美はトイレットペーパーで陰部をぬぐい、ショーツを履く。
和式便器の水にプカプカと浮かぶ本山の精液──それを眺めた亜美は、そっと流水レバーを引き、公園を後にした。
蒸し暑い午後の陽気が、さらに亜美を気だるくさせていた。
亜美はふと立ち止まり、深呼吸をする。
視線のさきに見えたのは、「武田クリニック」の看板だった──。