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セイドレイ【完結】
第11章 部外者
(でも、そんなことより、なによりも────)
亜美は本山と肉体関係を持ってしまったことについて、自分がそこまでダメージを受けていないことに気づいてしまう。
もちろん、苦痛には違いないのだが──明らかにセックスに対するハードルが下がってしまっていることを自覚したのだ。
あのとき、ひとまず本山にこのカラダを抱かせさえすれば落ち着くだろう、との考えがよぎった。
しばしの苦痛に耐え、射精さえさせてしまえばいい。
だって、男とは "そういう生き物" なのだから──、と。
セックスとは本来、生殖行為であるとともに、こと人間においては性的快楽のためにそれを営むものである。
人によっては "愛の行為" であり、また人によってはその行為自体を楽しむことでもあるだろう。
どちらにせよ、セックスは人生を豊かにするはずのものだ。
そしてこれは、双方の合意があった場合に限り、という大前提がある。
そうでないものは、ただの性犯罪でしかない。
しかし亜美は、そんな当たり前のことを知るよりもまえに、度重なる性的暴行によってただ肉体的な反応としての快感のみが急速に発達してしまったようだ。
それが女性にとってどんなに不幸なことであるか──異性に恋心を抱いたことすらない亜美は、知る由もなかったのである。
そんな "不幸" が、早くも亜美に "変化" をもたらそうとしていた。
亜美は無意識のうちに、精液を掻き出すために膣内に入れた中指を軽く曲げ、ゆっくりと抜き差しを始めたのだ。
それは亜美にとって、生まれて初めての "自慰行為" であり、性的な刺激を能動的に求めた瞬間でもあった。
「ハッ…はぁんっ…アンッ…アッ……」
それだけではもの足りぬのか、遊んでいるもう片方の手を乳房へと伸ばし、揉み始めた。
すると、なぜか頭の中には自分を陵辱した男たちの顔がぼんやりと浮かんでくる。
そして、あの動画が不特定多数の男たちに見られているということを想像すると、次第に気分が高揚してくる──。
おかしいことと分かっていながら、亜美はその危険な妄想と自分の指を止めることができなかった。
「アッ!…イクッ…イッチャウ…──」
「ピクッ」と一瞬の身震いとともに、亜美はオーガズムを迎えた。
(なに…今のは…なんなの…?私、今なにを考えていたの…?やっぱり私、どうかしてる…──)