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セイドレイ【完結】
第15章 見えない敵

一方、この長い夜を過ごしていたのは、亜美だけではない。

貴之は自室のベッドに寝ころび、亜美に思いをつのらせていた。

亜美のことを、もっと知りたいと思っていた。
しかしそれは自分など到底およばぬ、高嶺の花であることも十分に承知していた。

しかし、眠ろうと目を閉じると、貴之のまぶたの裏には微笑む亜美の顔が浮かんでしまう。

「やべー。眠れねー…」

何度も寝返りを打ち、悶々として落ち着かない様子の貴之。

「高崎さん…おっぱい超でかかったなぁ…。顔も超かわいいし…やっぱ彼氏いてもおかしくねぇよな…」

貴之はそんなことを考えるうち、自然と下半身をまさぐり始めていることに気づいて、思わずハッとする。

「──あーもうっっ!!ダメだっ!!ちくしょー!!」

すると貴之は仰向けになりズボンを脱ぐと、イチモツをシゴきはじめた。

「ハァッ…!ハアッ…!んっ……高崎さんっ…!高崎さんっっ!!ウッ…!うぉっ…────!!」

ものの数十秒──。
勢いよく放たれた精液は、貴之の顔にまで到達する。

「──うげっ!?きったねーな…てか飛びすぎだろ…」

慌ててティッシュを手に取り、自らの精液をぬぐった。
そして興奮のあとは、賢者タイムが罪悪感を連れてくる。

「はぁ……────」

貴之は深くため息をついた。

「(俺、サイテーじゃん。高崎さんオナネタにするとか…。いかん、もう寝よ──)」

自慰によってようやく落ち着いた貴之は、ほどなくして眠りについた。

まさかこの夜、亜美も同じように貴之の顔を思い浮かべながら、何度も絶頂に達しているとは知らずに──。






「──おい、朝だぞ。外してやる」

耳慣れた声で、亜美は目を覚ました。


(おとう…さま…?)


雅彦は拘束具を外し、亜美を磔台から解放する。
そのまま倒れ込む亜美を、雅彦はその胸で抱きとめた。

「一晩、よく耐えたな。今は眠りなさい」

「…お、おとう…さ…────」

亜美は雅彦の腕の中で、ふたたび眠りにつく。

雅彦は、うなりつづける2本のバイブのスイッチを切り、そっと抜き取った。
そして、冷えた亜美のカラダを温めるかのように、無言で抱きしめつづけた。

亜美のかすかな寝息に、雅彦はなにを思うのか。


「(これがワシの望んだこと…なのか────)」


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