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セイドレイ【完結】
第15章 見えない敵
「では…今夜一晩このままの状態でカメラを回し続けてください。あいにく明日からしばらく海外出張でして…。今日はこのへんでおいとまさせていただきますので」
「承知しました。朝まで "アレ" はこのままにしておきます。どうかお気をつけて。今後とも、なにとぞごひいきに──」
そんなやり取りをして、客はそれ以上亜美に触れることもせず、あっさりと帰っていった。
「──驚いたかね?実にいろいろな奴がいるだろう?」
磔にされたままの亜美に、新堂が語りかける。
「人の欲というのは実に罪深い──しかしね、それは君も同じだよ?亜美。こんなことになっても君はまだ、希望を捨ててはいない。そうだろう?実に愚かだ。だが、その愚かさゆえ君は美しい──」
いつもよりやや高揚した新堂の声。
それには、ちゃんと "理由" があった。
「──たとえば、"水野貴之"。あれは、君の希望になり得るのかい?」
新堂が発した思いがけないその名前に、亜美は「ビクッ」とカラダを震わせる。
「クククッ…!さすがに動揺しているようだねぇ。いいぞその調子だ。あの小僧の顔を思い浮かべるんだ。そして、なにが誰とどうなっているか、そしてどうするべきなのか──一晩中考えてみたまえ。これは私からの "なぞなぞ" だよ」
すると新堂は軽く亜美の顎を引き、こうささやいた。
「 "希望" は闇の中でこそ輝く。希望を捨てるな──」
それから何時間が経過したであろうか。
亜美は磔台に固定され、2穴をバイブで貫かれたままずっと暗闇の中にいた。
いつもなら襲いに来るはずの慎二も、今日はその気配すらない。
いや、もしかしたら鏡越しにこの様子を監視しているかもしれないが。
亜美の下半身はすでに、ほぼ感覚を失っていた。
もう何度か失禁もしている。
眠気がやってきても、断続的に訪れるアクメの波で強制的に目覚めさせられてしまう。
なぜ、新堂は貴之の名を口にしたのだろう。
亜美は状況を整理しようと試みるも、こんな状態ではそれは到底不可能である。
闇の中で亜美の目には、はにかむ貴之の顔が浮かんでいた。
新堂の言うように、それは闇の中で光り輝く希望のように思えた。
「ウッ…!ゔゔっ…!ゔゔっ!!ゔゔぅぅっ…────」
貴之の顔を思い浮かべたとき、亜美はこの日一番深いオーガズムに達したのだった──。