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セイドレイ【完結】
第17章 自由
無論、亜美がいたのは病室ではなく、この屋敷の地下室である。
亜美は貴之が来ていることも知らず、地下室のベッドで横になっていた。
学校を欠席しようとも、毎晩のように客はやってくる。
この3日間、日中は眠るか慎二から襲われるかのどちらかで、夜になれば客の相手をして過ごした。
そろそろ学校に行かねばならないことは分かっていた。
トメも心配しているだろうし、本山に頼みごともしている。
そしてなにより貴之に会いたかった──が、新堂の企みを知った今、もはやそんな場合ではない。
どうにか貴之を巻き込まずに済む方法は──亜美はずっとそのことを考えていた。
(やっぱり…あのとき突き放しておくべきだった。分かってたはずなのに…私のせいで水野くんになにかあったら──)
亜美は後悔をにじませる。
いっそすべてを貴之に打ち明けようか──そんな思いかよぎるも、それこそ貴之を一番最悪の形で巻き込むことになるし、なにより知られたくない。
そもそも、こんな生活サイクルを半年間続けてきたのが奇跡だったのかもしれない。
張り詰めていた緊張の糸が切れかけた亜美は、自分がだんだん無気力になっていくのを感じていた。
そのとき、ドスドスと地鳴りのような足音とともに慎二が部屋へと入ってくる。
「ご、ご主人様…?」
「──なんかさっき、封筒持って男子がうちに来てたよ。新堂のおっさんが言ってた男はあのクソガキかぁ?」
「えっ…?うそっ、まさか──」
「実物見たらなんかムシャクシャしてきたなぁ。ガキのクセに俺様の奴隷に手ぇ出しやがって…ちくしょう」
「ちっ、ちがいますっ…彼とはなにもっ…!」
「あーうるさいっ!この淫売っ!俺というご主人様がいながら…どーせあいつにも色目を使ったんだろ!?俺のときみたいにさぁ!お前なんかマンコしか価値のない肉便器だろ?!俺がそんなお前をせっかく奴隷にしてやったっていうのにっ…クソッ、誰が本当のご主人様か思い知らせてやるっ!!ほらっ、とっととケツ出せよこの裏切り者っ!!」
(おねがい…もうやめて…────)
激昴した慎二は、いつも以上に乱暴に亜美を扱った。
その地獄のような時間は、客が来る直前まで続いたのだった──。