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セイドレイ【完結】
第3章 はじめての朝
今から時をさかのぼること、約2ヶ月前──。
第一志望校に合格した亜美は、期待と不安が入り混じるなか、高校生活をスタートさせた。
部活動は、中学校から続けてきたテニス部に入部。
亜美の両親は、大学時代にテニスサークルで知り合い、恋に落ちたと聞いている。
両親を心から尊敬していた亜美は、いつか自分もそんな大人になりたいと憧れていた。
もちろん夢もあった。
それを叶えるには、相当な努力が必要だった。
だとしても、頑張っていればいつかは叶う──、そう信じていた。
優しい父と母のもと、一人娘として大切に育てられた亜美は、今思えばひょっとすると少しだけ世間知らずだったかもしれない。
人を疑うことすら知らない、素直な優しさを持った可憐な15歳の少女だった。
恋愛にも、まったく興味がないわけではなかった。
告白されたことも何度かある。
でも、自分にはまだ当分先の話だと思っていた。
亜美にとっては、大好きな両親、充実した高校生活、信頼できる友達。
これらが世界のすべてであり、そこに何ひとつとして不満などなかった。
そして、こんな日々がこれからもずっと続いていくことを、信じて疑わなかったのだ。
強いて気になることがあるとすれば、カラダが徐々に大人の女性へと変化を遂げつつあること。
初潮を中2で迎えると、そのころから急速に乳房が発育を見せた。
同級生が口々に「亜美の胸は大きくてうらやましい」と言うが、それがいまいちピンとこなかった。
テニスをやっていたこともあって、亜美としては背が高く筋肉質なアスリート体型の女性に憧れを抱いていたのだ。
よって、小柄なカラダに似つかわしくない巨乳が、亜美にとって唯一とも言えるコンプレックスだった──のかもしれない。
性に関する知識は、同じ15歳の少女と比較しても、ほとんど無いに等しかった。
妊娠・出産の仕組みも保健体育の授業で知った程度のもので、世の中の男女がどのようにしてセックスに興じているかなど、知る由もなかったのだ。
女として相当に恵まれた容姿を持ちながら、そんな自分の魅力にまったく無自覚だった亜美。
色で例えるならばそれは、一点の曇りもない、純白の少女──。
それが、つい2ヶ月前までの、高崎亜美である。