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セイドレイ【完結】
第19章 風評
時は、一晩前にさかのぼる。
貴之が亜美に書類を届けた日の深夜──客の相手を終え、ベッドの上にうなだれる亜美の様子を新堂と雅彦が見に来ていた。
「──おつかれさん。今日も派手にやられたもんだね。ところでここ数日、学校を休んでいるようだが。大丈夫かね?」
新堂からのそんな問いかけ。
しかし亜美は応答する気力が残っておらず、激しい陵辱の余韻にうつ伏せで放心状態になっていた。
「もしかして、水野に会いたくないのかい?健気だなぁ…。でも彼は君に会いたがっているようだぞ?ポストに入れておけば済む書類を、わざわざ手渡しで届けてくれたそうじゃないか。かわいそうとは思わんかね?」
亜美のカラダが微かにピクッと震える。
「──そこで私にいい考えがある。明日は土曜日だ、ちょうどいい。日中、水野に会いに行くんだ。家は知っているな?902号室だそうだよ」
「……え?」
「どう過ごすのかは君に任せるよ。高校生らしくデートするのも良し、楽しんできたまえ。ただ、もちろんそれだけでは終わらない。時間はいつでも構わんが、彼を君の部屋に招待しなさい」
「…私の…部屋に?」
「あぁ。初めてのデートで彼女の部屋に招かれるなんてよからぬことを期待するには最高のシチュエーションじゃないか。そしてそこで、君は彼を "男" にしてやるんだ。どういう意味か分かるな?」
「おとこに…する…?」
「そうだ。ちゃんとできたか確認するために、君の部屋には隠しカメラを設置しよう。だから必ず、君の部屋へ彼を連れてくるように。まぁ、君なら朝飯前だろうがね」
「…も、もし、できなかった…ら?彼は…水野くんは…どうなりますか…?」
「そうだねぇ。いくらでも方法はある…。そして私は気まぐれなんだよ。そこは理解しておきたまえ。なあに、深く考える必要はない。恋人同士がセックスをする、ただそれだけの話じゃないか。なぁ?雅彦」
「あぁ。そうだな──」
こうして新道の画策により、亜美の部屋に招かれることとなった貴之。
貴之の筆おろしは、すべて新堂に仕組まれたことだったのだ。
そんな悪夢のような計画。
亜美は床に伏したまま、ほかにひとつ気になることがあった。
近ごろ、雅彦の様子がどこかおかしい──。
とくに新堂の前では、なにかを我慢しているような印象を受けるのだ。