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セイドレイ【完結】
第19章 風評

一方そのころ、貴之は夕食を済ませ、自分の部屋のベッドに横になっていた。

全身には若干の気だるさが残るが、それも当然である。
数時間もの間、無我夢中でセックスをしていたのだから。
6回目の射精までは数をカウントしていた記憶がある。
するとそれ以上か──貴之は今になって、少々やりすぎてしまったのではないかと不安になる。

だがそんな心配とは裏腹に、貴之のペニスは未だどうにも勃起が治まらなかった。
あれだけ射精したというのに──こんなことは初めてだ。

帰宅後も、亜美とのセックスが頭から離れなかった。
亜美の肌の感触が、まだ手に残っている。
マシュマロのような乳房の柔らかさは、想像を遥かに超えていた。
細い腕は、掴んだら折れてしまうのではないかと思うほどに、脆かった。
白くキメの細やかな肌はしっとりとしていて、触れるものすべてに吸い付いていくようだった。
艶やかな黒髪からはシャンプーの香りが、そしてカラダからはほのかに甘い雌の香りが漂っていた。

これまで貴之の右手の握力しか知らなかったペニスは、亜美の粘膜という粘膜を存分に堪能した。
口内は柔らかく、優しさに包まれているような感覚だった。
そして膣肉は、それ自体が亜美とは別の意思を持っているのかと思えるほど、ヒダとヒダとが蠢いて、肉棒に絡みついてきた。

どんな妄想をも蹴散らすような圧巻のセックスによって、貴之は童貞を卒業した。
それは恋人との、幸せな時間だった。

──はずである。

ところが貴之には、いくつか気になる点があった。

学校では品行方正で清廉なイメージを欲しいままにしていたあの高崎亜美が、実は男のツボを知り尽くした「女」だった、ということ。

膣内から次々に排出されるローターを目にしたとき、貴之は興奮するというよりも率直にショックだったし、頭が真っ白になった。

常識で考えれば、膣内に玩具を挿入したままデートするという行動は異常だ。

しかも、あの高崎亜美が、である。

今でも違和感はぬぐえないし、通じ合えたことをよろこぶ一方で、なにかとんでもない絶望に手招きされているような気さえする。

冷静になればなるほど、亜美に問うてみたいことは無限のようにあった。
そもそも貴之は、亜美のプライベートなことをまだほとんど知らないのだ。


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