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セイドレイ【完結】
第1章 悲劇のヒロイン
放課後を知らせるチャイムが鳴る。
(今日もあの家に帰らなきゃいけない──)
高崎亜美(たかさき あみ)は、高校一年生。
数ヶ月前、交通事故で両親を失い、遠縁の親族に引き取られこの街に越してきた。
「──亜美ちゃん!今日もし良かったら私たちと一緒に…勉強しない?」
下校するため、教室で通学用の指定鞄に教科書を仕舞う亜美に、クラスメイトが屈託のない笑顔で話しかけてくる。
しかし、亜美は申し訳なさそうな顔をして、その誘いを断る。
「あ…えっと…ごめんなさい。今日もちょっと早く帰らなきゃいけなくて…」
「あ、そうなんだ……うん、全然気にしないで!」
そしてクラスメイトは一瞬の間を置くと、さらにこう続けた。
「…あのね、亜美ちゃん転校してきて色々大変なんじゃないかと思って、ちょっと心配なんだ。私で良かったらさ、なんでも相談に乗るから!困ってることとかあったら言ってよね!」
(困ってること……か)