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セイドレイ【完結】
第21章 満月の喧騒

「──本日は皆様、大変お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます」

地下室で、新堂が会員たち向かって挨拶をする。

「…とまぁ、堅苦しい挨拶はこれくらいにして。しかし、皆様よくぞこんなに集まってくださった。私は嬉しいですよ」

新堂がかしこまっている理由。
それはまず、今日この地下室に訪れている客の "人数" にある。

通常、会員はそれぞれに予約をした日にこの地下室へ来ることになっており、普段は会員同士が顔を合わすことはない。

しかし、今日は少し様子が違っていた。

地下室には、この日都合のついた総勢15名の会員らが、みな全頭マスクをかぶり全裸で並んでいるという異様な光景が広がっていた。
普段はだだっ広く感じるこの地下室も、さすがにこれだけの人数で埋め尽くされると窮屈に感じるほどである。

では、どうして彼らが今日、ここへ一同に集められたのか。

「──まずは、あらためて簡単にご説明しますと、そこにおります少女には排卵誘発剤を投与してあります。今日は計算上、着床しやすい日ということで、ご無理を言って皆様にお集まりいただいた、というわけです」

新堂はさらに続ける。

「また、本日の "特別料金" は決してお安くないにも関わらず、会員の皆様の "ご厚意" には心より感謝しております。私としても、なんとか成功させたい。"種" が悪いか "畑" が悪いか──ぜひともみ皆様ご自身で証明していただきたく」

「ははっ…相変わらず悪趣味だなぁ新堂さんは」

「まるで種が悪いと言われているようで心外ですよねぇ」

「仮に、今日誰かの子種で妊娠したら、その後どうするんです?」

「はい…。それにつきましては、今日ご参加いただいた皆様に決定権がございます。そこまで込みの料金ですので。また追ってご案内しますが、いくつかの選択肢から多数決で選んでいただくことになるでしょうねぇ」

ざわざわと、地下室の中が湧き上がる。

空調で管理されているとは言え、すでに部屋の中は男たちの熱気が充満し、蒸せ返っていた。

「──さぁ、君からもちゃんとご挨拶するんだ。大事な会員様に、失礼のないようにな」

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