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セイドレイ【完結】
第21章 満月の喧騒
「──きょ、今日はお集まり…いただきまして…ありがとうございます…」
亜美はそう言って、会員たちに深々と頭を下げた。
「おや…それだけかね?ほかにも皆様にちゃんと言わなきゃならんことがあるだろう?」
「は…はいっ…。あのっ…みなさまの…せ、精子で……私を…は、孕ませてくださいっ……おねがい…しますっ…」
亜美の挨拶によって地下室がドッと湧き上がる。
「ヒューヒュー!いいね亜美ちゃん!!俺がちゃ~んと妊娠させてあげるからね?」
「俺も1週間溜めてきたから、濃い~ので孕ませてやる!」
各々にそんな野次を飛ばす会員たちの群れ。
そう──、今宵は亜美を妊娠させることを目的とした「孕ませショー」が開催されたのである。
このイベントのため、亜美は前回の生理後から今日まで膣への挿入を禁止している──と、あくまで会員に対して表向きではそういうことにしてあった。
実際にはそこまで徹底されていないのだが、これは仮に亜美が妊娠した際に「あのとき孕ませたのは自分かも」と会員たちに思わせるための心理的な演出でもある。
新堂がこんなイベントを企画した理由。
それは、もう幾度となく膣内射精されているにもかかわらず一向に妊娠しない亜美に業を煮やしていたことがひとつ。
さらに、そもそもの "売り文句" が妊娠上等の性的サービスということもあり、運用から数ヶ月が経過した今、新堂としてはそろそろ "成果" をあげたい頃合いでもあった。
事実、なかなか孕まない亜美に対し避妊薬の投与を疑う会員も現れ始めていたことから、新堂はこんなイベントを企画したのだ。
「──なお、数打ちゃ当たるの精神で、もっとも多く射精してくださった会員様には、本日の特別料金の50%をキャッシュバックさせていただきます。ですので、あそこのホワイトボードに "回数" の記入をお忘れなく」
「こりゃキンタマが空っぽになってしまうな!!」
「いやはや、新堂先生の商魂には感心しますなぁ~」
「──では、そろそろスタートしたいと思いますが、皆様準備はよろしいでしょうかね?」
男達が一斉に返事をする。
それはまるで怒号のように、亜美のカラダに響いていた。
「なにかあれば、私はあの鏡の向こうにおりますのでなんなりと。それでは皆様、お時間の許すかぎり、心ゆくまでお愉しみください────」