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セイドレイ【完結】
第24章 性夜の鐘
この日は二学期の終業式。
全校生徒は体育館に集められ、理事長である新堂の講話に耳を傾ける。
壇上に立ち、堅苦しいだけでなく時折ユーモアを交えながら、二学期の総括と冬休みを迎えるにあたっての心構えを饒舌に語る新堂。
この男の恐ろしさを知っているのは、約400人いる全校生徒の中でも、おそらく1人だけだろう。
「──それではみなさん、光明学園の生徒であるという自覚を持って、実りある冬休みを送ってください。私からは以上です」
一礼をして壇上から降りていくその新堂の姿を、亜美は据わった目で眺めていた。
式は淡々と進行していく。
続いて、生徒指導主事である本山が冬休み中の過ごし方について説明をする。
新堂とは対照的にぶっきらぼうな口調のため、もともと退屈な内容がさらに退屈に聞こえる。
周りの女子生徒たちが「キモい」「セクハラ教師」などと、ヒソヒソ声で本山の悪口を言っていた。
いかにも男性ホルモン丸出しといったその風貌は、多感な女子生徒にとっては嫌悪の対象なのだろう。
だが、私がされていることに比べたらそのくらいいいじゃないか──と、亜美は思わず心の中でつぶやいていた。
次に、各表彰式が行われるため、新堂が再び壇上に上がる。
「──えー続きまして、二学期の表彰式を行います。まずは、成績優秀賞、定期考査部門の発表です。1年、高崎亜美!」
「はい──」
やや控えめでありながら、凛とした声で返事をする亜美。
「──以上の生徒は、前に来てください」
「すげ~またかよ?確か1学期もだったよね」
「1教科だけ99点で、あとは全部満点だったらしいぜ?」
生徒たちのそんなざわめきの中、亜美は壇上にあがる。
そして新堂の前に立つと、深々と一礼をした。
「──成績優秀賞、定期考査部門。特別進学コース1年、高崎亜美。あなたは、2学期定期考査おいて最も優秀な成績を収められました。よってこれを賞します。平成〇〇年──」
新堂が表彰状の文面を読み上げている間も、亜美の目は新堂の顔一点を見つめ、据わっていた。
「──この調子で、学年末も頑張ってください。おめでとう」
表彰状を受け取り一礼をすると、亜美は横にずれて、そのあとに続く2年生と3年生の授与が終わるのを待った。