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セイドレイ【完結】
第26章 形勢
「こっ…これはっ……」

部屋の中に慎二は居なかった。
しかしそれ以上新堂が驚いたのは、まず鼻に突き刺す部屋の悪臭と散らかり具合、そして、壁中を覆うように貼られた、亜美の痴態を写した写真の数々。

ある種の壮観ささえ感じさせるようなその景色に一瞬圧倒されつつ、新堂はそれを見て色々と納得したのであった。

新堂はすぐさま、階段の下で待機している本山を二階へ上がるように手招きする。

「わっ…!なんだこの部屋…」

本山も、その部屋の異様な景色に驚きを隠せなかった。

「…とにかく、手短に済ませるぞ。私は念の為、部屋の前で待機しておく。もし慎二が戻ってきたら、部屋に入れさせないように適当に理由を付けて別の場所へ連れて行く。本山先生はその間にパソコンを調べて、何か面白い情報を掴んでくれ。頼んだよ」

「はっ…はい!承知しましたっ…」

本山は恐る恐る、足の踏み場も無い部屋へ入り、慎二のパソコンへと近づいて行く。

新堂が部屋の外で見張りをしている内にパソコンを調べる、これが本山が命じられた任務だった。

新堂が言う「何か面白い情報」というのが抽象的で分からなかったが、もし新堂を満足させる情報を持ち帰れば、その褒美として亜美を抱かせて貰えることになっていた為、本山は何が何でも手柄を上げなければと躍起になっていた。

先日、クリスマスの夜に風呂場で亜美からのメールを見返しては悶々としていたのは、この事があったからなのだ。

幸運なことに、パソコンの電源は入れられたままだったので、最初の関門は突破した。

部屋に入った時に感じた異臭も、だんだん鼻が慣れてきたようだ。
本山は大きく深呼吸をしたあと、まずはウェブブラウザを立ち上げる。

すると、復元された複数のタブの中に、案の定『セイドレイ』があった。
本山は迷わずそのタブをクリックすると、ログインIDとパスワードが記憶されていた。

「よっし…!」

自分の予想が的中した本山は、小さくガッツポーズをして喜ぶ。

すぐさまログインボタンをクリックし、慎二のアカウントで『セイドレイ』にログインする事に成功した。

しかし問題はここからだ。
何か新堂を満足させる情報は無いか、メニューを片っ端から見ていく。
ダウンロードされた動画の収益金額等を見てみるが、こんなことでは新堂は満足しないだろう。
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