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セイドレイ【完結】
第26章 形勢
新堂はあの時、『田中』と『タカ』のメールアドレスを控えるよう本山に命じたのだった。

しかし、その直後慎二が戻って来たため間に合わず、アドレスを控えることが出来たのは『田中』の分のみだった。

「す、すいません…時間が足りませんで…」

本山はそう言うと、自分のスマホにメモした『田中』のメールアドレスを新堂に見せる。

「そうか…まぁ一人分だけでも良しとしよう。いやいや、むしろ十分ですよ。まさかこんな面白いネタを掴んでくれるとは…」

「とっ…とんでもございませんです!理事長のお役に立てたのならよかったです…で、これから私は何をすれば…?」

「うむ…私はこれから雅彦と話をする。その間に君は、慎二になりすましてその『田中』とやらをおびき出して欲しいのだが…」

「えぇっ!??」


新堂の次なる計画はこうだった。
本山が慎二になりすまし、本山のアドレスから田中へメールを送る。
メールアドレスが違うことについては、適当に理由をつけてアドレスが変更になった事にする。

そして、実際に会う予定は翌日の27日だが、急遽予定が変わったので本日26日の22時にできないかと打診する。
場所は従来予定していた緑地公園のトイレとする。

つまり、実際に慎二と田中が接触する前に、田中をおびき出せというものだった。

「…そんなにうまく…行きますかね?」

「さぁねぇ。相手がバカなことを祈ろうじゃないか。それに、うまく行くかどうかは、君の腕にもかかってるんですよ?本山先生。成功したら…亜美を好きにさせてあげましょうか」

「……やります。やらせていただきますっ!!」

「では頼みましたよ。とりあえず本山先生は今からこの家を出てください。私は雅彦との話が終わったら連絡します。その後で合流しましょう」

「分かりました…!では…」


その後新堂は、雅彦から「亜美が流産した」と聞かされることとなり、それが雅彦による偽装であるという疑いをより強めた。


一方、本山は指示の通り慎二になりすまし、田中をおびき寄せる事に成功する。


そして二人は合流すると、緑地公園のトイレで田中が来るのを待つのだった。
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