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セイドレイ【完結】
第27章 愛
健一の言うことは至極もっともであり、雅彦も考えていなかった訳ではない。
しかし、仮に新堂の力によって亜美が見つかったとして、そうなればもう亜美を地下室から解放することはできないだろう。
そればかりか、もはや亜美に関わることさえ許されないかもしれない。
新堂は、それがたとえ友人であっても、落とし前だけはしっかり付けさせる男だ。
それが金で済むのなら、雅彦は全てを投げ打ってでもいい。
しかし、新堂はそんな単純な男では無いのだ。
どのみち、明日の夜までに亜美が帰って来なければ、新堂に亜美が居なくなったことがバレてしまう。
そうなれば新堂は、亜美を捜索するにしても、揉み消すにしても、その指揮を新堂自身が執るであろう。
それでは亜美が見つかっても見つからなくても、結果的に亜美を守ることができない。
であるならば、下手に新堂に頼るのでは無く、もういっそ全てを巻き込んで自分達の罪を明るみにすべきでは無いかと、雅彦はそこまで考えていた。
「…とにかく、親父が何を考えてようが、明日の朝までここでじっとしとくのは俺は無理だから。無駄かもしんねーけど、やれることはやってみるからな。じゃあ行ってくる……何かあったらすぐ連絡してくれよ!」
健一はそう言って、亜美を探しに外へ飛び出して行った。
実は同じ頃もう一人、武田家の人間が家の外へ出ていた。
それは慎二だった。
彼は武田家の中で唯一、亜美が失踪した経緯を知る者だったが、自分の落ち度で亜美が連れ去られたとは言えず、口を閉ざしたまま部屋に引きこもっていたはず。
しかし彼も、決して亜美を見捨てた訳では無かったのだ。
田中はあの時、確かに『タカ』によって亜美が連れ去られた、と言っていた。
その情報が確かならば、亜美をさらった誘拐犯は、自宅から数百メートルの位置に暮らしてはず。
慎二はスマホを片手に、EXIF情報の指し示す座標位置の付近へ訪れていた。
ーーやはり。
慎二の目の前には、タワー型のマンションがそびえ立つ。
ここに貴之が住んでいることは、慎二も知っていた。
この辺りでタワーマンションと言えばここしか無いからだ。
しかし、部屋番号までは分からない。
雅彦に聞けば分かるだろうが、たとえ部屋番号が分かったところで乗り込む訳にもいかない。
しかし、仮に新堂の力によって亜美が見つかったとして、そうなればもう亜美を地下室から解放することはできないだろう。
そればかりか、もはや亜美に関わることさえ許されないかもしれない。
新堂は、それがたとえ友人であっても、落とし前だけはしっかり付けさせる男だ。
それが金で済むのなら、雅彦は全てを投げ打ってでもいい。
しかし、新堂はそんな単純な男では無いのだ。
どのみち、明日の夜までに亜美が帰って来なければ、新堂に亜美が居なくなったことがバレてしまう。
そうなれば新堂は、亜美を捜索するにしても、揉み消すにしても、その指揮を新堂自身が執るであろう。
それでは亜美が見つかっても見つからなくても、結果的に亜美を守ることができない。
であるならば、下手に新堂に頼るのでは無く、もういっそ全てを巻き込んで自分達の罪を明るみにすべきでは無いかと、雅彦はそこまで考えていた。
「…とにかく、親父が何を考えてようが、明日の朝までここでじっとしとくのは俺は無理だから。無駄かもしんねーけど、やれることはやってみるからな。じゃあ行ってくる……何かあったらすぐ連絡してくれよ!」
健一はそう言って、亜美を探しに外へ飛び出して行った。
実は同じ頃もう一人、武田家の人間が家の外へ出ていた。
それは慎二だった。
彼は武田家の中で唯一、亜美が失踪した経緯を知る者だったが、自分の落ち度で亜美が連れ去られたとは言えず、口を閉ざしたまま部屋に引きこもっていたはず。
しかし彼も、決して亜美を見捨てた訳では無かったのだ。
田中はあの時、確かに『タカ』によって亜美が連れ去られた、と言っていた。
その情報が確かならば、亜美をさらった誘拐犯は、自宅から数百メートルの位置に暮らしてはず。
慎二はスマホを片手に、EXIF情報の指し示す座標位置の付近へ訪れていた。
ーーやはり。
慎二の目の前には、タワー型のマンションがそびえ立つ。
ここに貴之が住んでいることは、慎二も知っていた。
この辺りでタワーマンションと言えばここしか無いからだ。
しかし、部屋番号までは分からない。
雅彦に聞けば分かるだろうが、たとえ部屋番号が分かったところで乗り込む訳にもいかない。