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セイドレイ【完結】
第27章 愛
では何故、慎二はここへやって来たのか。

まずは、『タカ』の正体が『水野貴之』である裏付けのため。

そして、もし仮に本当に貴之が亜美を連れ去ったとするなら、貴之だって行方不明になっているということだ。

まさか自宅にかくまっているなど、そんな大胆なことは考えにくい。

亜美が居なくなったのとは事情が違い、ごく普通の一般家庭で息子が行方不明になったとしたら、通常親なら捜索願を出すであろう。

そのため、警察が出入りや、付近で捜索しているかもしれないことを考え、その様子を確認したかったのもあった。

そもそも、貴之の親が捜索願を出していたとしたら、交際相手である亜美に警察が事情を聞きに来てもおかしくないはず。

しかし、雅彦の様子だとそれも無いようだった。

慎二はとにかく、実際にこの場所へ足を運べば、何か手がかりが見るかるのでは無いかと思ったのだ。

パッと見、マンション付近にパトカーや警官が巡回している様子は無い。

慎二はマンションのエントランスを見渡せる位置にちょうど物陰があるのを見つけると、そこへ身を隠ししばらく様子を伺うことにした。

犯人が貴之であるならば、心中でもしない限り亜美の命は無事だろう。

だが、まだ幼い二人が何のあても無く家を飛び出すのも考えにくい。

正直、亜美が居なくなったことによる様々な影響に関して、慎二はあまり興味が無かった。

新堂から何を言われようが、責任を取るのは雅彦だ。


慎二は、実はというと田中の言うことを鵜呑みにしていた訳でも無かったのだ。

あの時は慎二もパニックになっていて冷静さを失っていたが、よくよく考えてみれば、緑地公園から田中の自宅までは車で移動した。

仮に、そこで貴之に後を付けられていたとしても、運転することができない高校生が、どうやって移動する車を尾行できると言うのか。

タクシーを使って追いかけた線もあるが、あの閑散とした公園の周辺でタクシーを拾うのは無理があるし、一度連れ去ることに成功しているにも関わらず、一旦解放したのち、また再度連れ去ったというのもおかしな話だ。

寒空の下、慎二は亜美にもらった上下のスウェットを見にまとい、物陰から煌々と光るエントランスをじっと眺めていた。

このまま何も無ければ、田中に連絡してみようーー、そう思っていると、ひとつの人影がマンションへ向かって近寄ってくる。
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