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セイドレイ【完結】
第29章 ぬけがら
「たっ…ただいまっ…!」
慌てて自宅に戻ると、貴之の父、俊之が一通の手紙を手渡してきた。
『水野くんへ』
と書かれた真っ白な一通の封筒。
「…今朝、お前が家を出てからすぐ、本山先生…生徒指導の先生が、わざわざ持ってきてくださったんだ。亜美ちゃんが留学することになって、直接お別れが言えないからお前に手紙を書いてくれたそうだよ」
「…亜美がっ…手紙を?」
ーーそんな馬鹿な。
そんなことあるはずが無い。
亜美は何者かに連れ去られたのだ。
留学というのは、それを隠蔽するために新堂がついた嘘であるはず。
しかし、封筒に書かれたその文字は、確かに見覚えのある亜美の筆跡には違いなかった。
しかも、何故それを本山にことづけたのかーー。
貴之は完全に混乱していた。
訳が分からないまま、恐る恐る封筒の中の手紙を取り出し、食い入るようにそれを読んだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
水野くんへ
突然お別れしなきゃいけなくなって
ごめんなさい。
色々あったけど、留学することになりました。
多分、私が居なくなったとみんな大騒ぎ
しているかもしれませんが、私は無事に
保護されて、今は大丈夫です。
詳しい話は、新堂先生や私のお義父さんが
知っているので、気になるのであれば
また聞いてみて下さい。
新学期からはもう私は居ないけど
お互い違う場所で頑張ろうね。
最後に。
短い間だったけど、水野くんの彼女になれて
私はすごく幸せでした。
亜美
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…嘘だ……嘘だっ……こんなのっ…信じられるわけねぇだろ……だって……おかしいじゃねぇかっ…!こんなの嘘だっ!!」
貴之はその手紙を握り締めると、一目散に玄関を飛び出して行った。
「おっ、おい!貴之!?待ちなさい!一体どうしたんだっ!?貴之……」
慌てて自宅に戻ると、貴之の父、俊之が一通の手紙を手渡してきた。
『水野くんへ』
と書かれた真っ白な一通の封筒。
「…今朝、お前が家を出てからすぐ、本山先生…生徒指導の先生が、わざわざ持ってきてくださったんだ。亜美ちゃんが留学することになって、直接お別れが言えないからお前に手紙を書いてくれたそうだよ」
「…亜美がっ…手紙を?」
ーーそんな馬鹿な。
そんなことあるはずが無い。
亜美は何者かに連れ去られたのだ。
留学というのは、それを隠蔽するために新堂がついた嘘であるはず。
しかし、封筒に書かれたその文字は、確かに見覚えのある亜美の筆跡には違いなかった。
しかも、何故それを本山にことづけたのかーー。
貴之は完全に混乱していた。
訳が分からないまま、恐る恐る封筒の中の手紙を取り出し、食い入るようにそれを読んだ。
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水野くんへ
突然お別れしなきゃいけなくなって
ごめんなさい。
色々あったけど、留学することになりました。
多分、私が居なくなったとみんな大騒ぎ
しているかもしれませんが、私は無事に
保護されて、今は大丈夫です。
詳しい話は、新堂先生や私のお義父さんが
知っているので、気になるのであれば
また聞いてみて下さい。
新学期からはもう私は居ないけど
お互い違う場所で頑張ろうね。
最後に。
短い間だったけど、水野くんの彼女になれて
私はすごく幸せでした。
亜美
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「…嘘だ……嘘だっ……こんなのっ…信じられるわけねぇだろ……だって……おかしいじゃねぇかっ…!こんなの嘘だっ!!」
貴之はその手紙を握り締めると、一目散に玄関を飛び出して行った。
「おっ、おい!貴之!?待ちなさい!一体どうしたんだっ!?貴之……」