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セイドレイ【完結】
第30章 姿なき脅迫
武田家のリビング。

雅彦、健一、慎二の三人は、それぞれに神妙な面持ちで視線を画面に向けていた。

何者かが、亜美を拉致監禁している事実。
それをわざわざ映像に収め、送り付けてきたのだ。

短い三分程の映像に込められたそのわずかな情報量。
しかし、確実に与えられた衝撃。
犯人はただ、こちらの恐怖心を煽ることが目的なのだろうか。

複数犯か単独犯かも分からない。
何か犯行声明や要求があるわけでもない。

しばしの沈黙を破り、最初に口を開いたのは健一だった。

「…新堂のおっさんは捜査してくれてんじゃねぇのか?何か言ってきてねぇのかよ?」

「いや…まだ何もだ。もしそんなものがあれば真っ先にお前らに伝えているだろう。それに…まだこのことも新堂には報告しとらん」

雅彦はまだこの件について、新堂に伝えていなかった。

「いや…親父さ、一応そこは言っといた方がいいんじゃねぇの?ひょっとしたらこの後、犯人から電話とかかかってくるかもしれねぇんだし…そうなりゃさ、逆探知?とか、色々やってくれるんじゃね?」

健一が言うことはもっともだ。

しかし雅彦は、そもそもこの件に関して新堂に疑いを持っていた。

いくら公安にツテがあるとは言え、大規模な捜索もせず秘密裏に見つけ出すことなど可能なのだろうか?

何かを揉み消したり、冤罪を仕組むことは出来たとしても、事件性があったとして行方不明者の捜索である。

もちろん、亜美がこのまま消えてしまうことは新堂にとっても痛手であるし、そもそも亜美という存在を大っぴらにできないことも承知の上だ。

それなのに、あの余裕の構え。
元々何にも動じない男ではあるが、それにしても妙だ。

年が明けてから、ぱったりと電話すら寄越さなくなった。

会員達にはどう誤魔化して居るのだろうか。
やむを得ないとは言え亜美を抱ける目処が立たないとなると、年会費の返納等の問題も出てくるのではないか。

状況の深刻さの割に、不自然な程に静まり返っている。

やはり、新堂は何か掴んでいるに違いない。
雅彦は、そう感じていた。

しかしまさか、この全てが新堂の描いたシナリオだとは、さすがの雅彦も思っていなかった。

いや、思いたくなかったという方が正解かもしれない。

だってそれは、あの男を敵に回したということ。

その恐ろしさを、誰より雅彦が一番知っているのだから。

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