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セイドレイ【完結】
第31章 少女の肖像
何者かがポストに入れたDVD。
それと同じくして、慎二宛に届いていた謎のメール。
そして『セイドレイ』にアップされた動画と、新堂の訪問。

年が明けてから今日までが、まるで嵐の前の静けさだったかのように、事態は急変する。

雅彦はこの一連の出来事によって、亜美の監禁そのものに新堂が関与しているという疑念を、確信へと変えた。

それと同時に、亜美を新堂から解放するという本来の目的も絶たれてしまった。


亜美に避妊薬を飲ませ、妊娠を偽装していた。
恐らく新堂はそのことに気づいていたのだろう。

如何なる事情はあれ、先に雅彦が新堂を裏切ったことには違いない。

高崎亜美という少女からその一切の光を奪う。
それを現実のものとするための相棒として、雅彦は新堂を選んだ。

しかしいつの間にか、相棒は主君へと成り代わっていた。

当初は一致していたはずの利害は、もしかしたら最初から微妙に食い違っていたのかもしれない。

雅彦の欲望を、新堂が金に変える。
欲望が金を生み、その金でまた新たな欲望を満たす。

まるで夢のようなビジネスサイクル。
その代償となるのは、15歳の幼気な少女だけーー。


そういう意味では、新堂の主張は正しいとも言える。

結局のところ雅彦は、自身の欲望を金に変えることを途中でやめたのだ。


高崎亜美という少女のことを、愛してしまったから。


しかし、亜美を取り巻く状況は、いつしか雅彦ひとりではどうすることもできなくなっていた。

亜美はそのくらい、雅彦の手に余る少女だったということだ。

新堂はもしかしたら、雅彦がこうなってしまうことを最初から予見できていたのかもしれない。



しばらくしても、雅彦はただぼう然と立ち尽くしていた。

動画の中の亜美は、その尻穴を無惨にも拳で貫かれたまま、あと10分少々を残して停まっていた。

雅彦も慎二も、もうその先を見る気になれなかった。
正確に言えば、見るのが怖かったのだ。


いつかその時が来たら、亜美は必ず戻って来る。
新堂はそう言った。

果たしてそれは、雅彦の知っている亜美なのだろうか。


「……続きを…見せてくれ」


雅彦が慎二に言う。

慎二は一瞬驚いた表情を浮かべるも、そっとマウスに手を伸ばし再生ボタンをクリックする。


音の無い、無声の叫び。

そこに浮かび上がる、愛した少女の肖像ーー。
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