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セイドレイ【完結】
第37章 零落
約半年ぶりに、『家族』水入らずとなった4人。

ベッドに置かれたクッションを背もたれにして座る亜美の周りに、雅彦達3人が静かに駆け寄る。

亜美は、膨らみを増した自分の腹を、まるで大事なものを守るかのように、そっと手で抱え込んでいる。

その様子は、しばらく見ないうちに見違える程落ち着いた雰囲気を醸し出していた。

他者には介入できない、母と子、2人だけの濃密な時間が流れているように感じる。

そのあまりの神聖さに、雅彦達3人はただただじっと押し黙っているしか無かった。


「あの…えっと……お久しぶり…です。私のことでご心配をおかけして…ごめんなさい」

遠慮がちに、はにかんだ表情で亜美がそう言った。
そこにほんの少しだけ以前の面影を感じた3人は、ほっと胸を撫で下ろす。

「あと…私のせいで…この家が、皆さんが…大変なことになっちゃって……できるだけ私も新堂さんに説得してみたんですが…」

「い、いいんだ…お前が気にすることでは無い……もう何も言わなくていいっ……無事にこうしてまたお前に会うことができた……ワシは…ワシはそれだけでっ…」

雅彦の声が心做しか震えている。
亜美が雅彦達に詫びを入れる道理など全く無いのだ。
立場は違えど、亜美にしてみれば雅彦達も新堂の共犯者のようなもの。
それなのに、亜美は自分こそ辛い状況に居るにも関わらず、雅彦達を気遣ったというのか。

この少女は、一体どこまでーー。

「…今夜は、私がわがままを言って、4人で過ごすことを許可してもらったんです。何となく…話したいこと、話しておきたいことがあったはずなんですけど…皆さんの顔見たら…何だかうまく言えそうにないな…すいません」

「いっ、いいよ?無理しなくて…さ。時間はまだあるし…ひっ、久しぶりに会ったから、お互い緊張してるんだよな?な?親父と兄貴も…そうだろっ…?」

珍しく慎二が気を利かせる。
雅彦と健一は静かにコクリと頷く。

しかしこれが緊張などでは無いことは、雅彦達が一番よく分かっていた。

あんな風に、自分達の欲望の赴くままに、散々亜美のことを嬲り、いたぶり、弄び、その尊厳を踏みにじってきたというのに。

今も変わらず、無防備な姿で佇む亜美に、指一本触れることすらはばかられるのは何故なのかーー。

「…じゃあゆっくり。今夜はゆっくりしましょう」

亜美はそう言って微笑んだ。
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