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セイドレイ【完結】
第37章 零落

新堂の嫌味を含んだ言い回しはいつもの事だが、雅彦だけでなく、その息子2人にまでここまで敵意をむき出しにするのは、未だかつて無いことだった。
当然、雅彦はまさか新堂による制裁が息子達にまで及ぶとは思っていなかった。
むしろ、そうならないように病院とこの家を手放すことを決断したというのに、である。
雅彦は本来であれば、今すぐにでも新堂の胸ぐらに掴みかかり、話が違うでは無いかと怒鳴り散らかしたかった。
しかし、そんな抵抗をしたところで、もはや何の意味も無いことも分かっていた。
決して触れてはいけない者の逆鱗に触れてしまったのだ。
今更後悔しても、もう後戻りはできないのだ。
「…あぁ、それから。3人共、納得がいかないからと言って逆恨みでおかしな真似はしてくれるなよ?お前達がどんなに喚こうが、こちらには酒井くんが居ることを忘れてくれるな。その気になればどんな罪でも着せてお前達を豚箱に突っ込むことだってやろうと思えばできるんだからなぁ。むしろそうしないことに感謝して欲しいくらいだ」
「…新堂さん、もうそのくらいにしましょう、ね」
ここへ来て初めて、酒井が口を挟む。
失意のどん底に突き落とされた雅彦達3人は、それぞれ一点を見つめ、ただぼう然とするばかりだった。
「…えー、武田家の皆さん。改めまして酒井です。余所者がちゃちゃを入れてすいませんね。ま、色々残念でしょうけど、新堂さんの言うことは素直に聞いておいた方が身のためかと思いますんで。ただね、亜美ちゃんがどうしても、今夜は御三方と一緒に過ごしたいって言って聞かないんですよ…」
『亜美、が…?』
思いがけないその言葉に、雅彦達3人が全く同じ反応をする。
「…はは。御三方とも息がぴったりですねぇ。そそ、亜美ちゃんがね…そう言ってくれてるんですよ。良かったですねぇ。という訳で、一旦私と新堂さんは退散します。今夜はこの地下室の中に限り、亜美ちゃんと過ごしてください。何も無いとは思いますが、念の為に地下室の扉は外から鍵を掛けさせてもらいます。つまり御三方も、今夜一晩はここから出られません。それでよろしければ、四人で楽しい時間をお過ごしください…」
そう言い残し、新堂と酒井は地下室の扉に鍵をかけ、外へ出ていった。
当然、雅彦はまさか新堂による制裁が息子達にまで及ぶとは思っていなかった。
むしろ、そうならないように病院とこの家を手放すことを決断したというのに、である。
雅彦は本来であれば、今すぐにでも新堂の胸ぐらに掴みかかり、話が違うでは無いかと怒鳴り散らかしたかった。
しかし、そんな抵抗をしたところで、もはや何の意味も無いことも分かっていた。
決して触れてはいけない者の逆鱗に触れてしまったのだ。
今更後悔しても、もう後戻りはできないのだ。
「…あぁ、それから。3人共、納得がいかないからと言って逆恨みでおかしな真似はしてくれるなよ?お前達がどんなに喚こうが、こちらには酒井くんが居ることを忘れてくれるな。その気になればどんな罪でも着せてお前達を豚箱に突っ込むことだってやろうと思えばできるんだからなぁ。むしろそうしないことに感謝して欲しいくらいだ」
「…新堂さん、もうそのくらいにしましょう、ね」
ここへ来て初めて、酒井が口を挟む。
失意のどん底に突き落とされた雅彦達3人は、それぞれ一点を見つめ、ただぼう然とするばかりだった。
「…えー、武田家の皆さん。改めまして酒井です。余所者がちゃちゃを入れてすいませんね。ま、色々残念でしょうけど、新堂さんの言うことは素直に聞いておいた方が身のためかと思いますんで。ただね、亜美ちゃんがどうしても、今夜は御三方と一緒に過ごしたいって言って聞かないんですよ…」
『亜美、が…?』
思いがけないその言葉に、雅彦達3人が全く同じ反応をする。
「…はは。御三方とも息がぴったりですねぇ。そそ、亜美ちゃんがね…そう言ってくれてるんですよ。良かったですねぇ。という訳で、一旦私と新堂さんは退散します。今夜はこの地下室の中に限り、亜美ちゃんと過ごしてください。何も無いとは思いますが、念の為に地下室の扉は外から鍵を掛けさせてもらいます。つまり御三方も、今夜一晩はここから出られません。それでよろしければ、四人で楽しい時間をお過ごしください…」
そう言い残し、新堂と酒井は地下室の扉に鍵をかけ、外へ出ていった。

