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セイドレイ【完結】
第38章 最後の晩餐
図らずも田中のザーメンサラダを口にしてしまった酒井は激昴し、側に立っていた田中の胸ぐらを掴んだ。

「おいコラ!?テメェ、気色悪ぃことしてんじゃねぇよ?!ああん?!ブッ殺すぞこのキモ豚野郎がっ!!」

「すっ…すすすすいませんっ……ごめっ…ごめんなさいぃぃ…ひっ…」

酒井はそのまま田中を突き飛ばした。
よろめいた田中は壁にぶつかり、その場に倒れ込む。

「…ったくよぉ、なんで俺がテメェの汚ねぇ精液食わされなきゃなんねーんだよ。あー最悪だ…あんま調子乗ってっとマジでしょっぴいてやっからな」

そんな2人のやり取りを黙って見ていた亜美が口を開く。

「あの…今日は何か…あったんでしょうか…?急に予約が入ったとか…?」

「…あぁ、そうそう。今日は新堂さんにちょいと頼まれてなぁ?…こいつを持って来たんだ」

そう言って酒井がスーツのポケットから、何やら箱を取り出した。

「じゃーん!これが何だか分かるよな~?」

「こっ、これは………」

酒井が手にしていたものは、妊娠検査薬だった。

「…まぁ、特に理由は無いんだが、新堂さんがそろそろやってみとけってさ。あの人も人遣い荒いよなぁ?俺も暇じゃねぇって言うのに……」

監禁されてからそろそろ3ヶ月が経とうとしている。
避妊薬の効果が切れてから、そろそろ頃合いとでも思ったのだろう。

「こいつの先っちょに、小便引っ掛けりゃいいんだろ?ほら、さっさと終わらしちまおうぜ。便所でやるぞ~」

「…わっ、分かり…ました」

そうして酒井が亜美の鎖を外そうとした時。

「まっ!待ってくださいっ!!酒井さん…そっそれは…ぼぼ僕の仕事…ですから……」

「あ…?」

田中の唐突な反論に、酒井も少々呆気に取られる。

「…うるせーな。ったくキメぇんだよ豚はすっこんでろよ」

「ダメっ!!亜美ちゃんのお世話は僕のっ…僕の仕事なんだからっ…僕がやらなきゃダメなんだっ!!」

たかがこれしきのことで何をそこまで真剣になる必要があるのかという程に、田中は血相を変えてそう訴えてくる。

酒井は苛立ったものの、何だかその田中が滑稽に見えて、思わず笑ってしまう。

「ふっ…何だテメェ?気持ちわるー。あーもーめんどくせぇな。わーったわーったから、ほらよ、やらしてやっから。さっさとしろや」
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