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セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色
「ふぅ…今日も暑いな……」

田中は額を汗で滲ませながら、炎天下の中、校内の草取りをしていた。

そう、彼は新堂が理事長を勤めるここ光明学園の用務員として、忙しい日々を送っていたのだ。

現在、学園は夏休みの真っ只中。
グランドでは、部活動に勤しむ生徒達の声が飛び交っている。

「はぁ………」

生徒達の若さに溢れた声を背中に浴びながら、田中は深い溜め息をついた。

「…少し休憩でもしよかな」


彼が亜美の監視の役目を解かれてから、もうひと月以上が経過していた。
亜美が田中のアパートを去り武田家に戻ったのが6月の下旬。
それからすぐ、用務員としての生活がスタートした。

田中には、用務員室として部屋が一つ与えられていた。
六畳一間の小上がりの和室に、簡易的なキッチンが備え付けられているが、これはかつて用務員が学校に住み込みで働いていた頃の名残りらしい。
現在は監視設備等の充実から、住み込みで働く用務員はほぼ居ないようだ。

田中は用務員室に戻ると、入口の脇に置かれた冷蔵庫の中からお茶を取り出し、ゴクゴクと喉を潤した。

「あ~生き返るぅ~。…毎日こんなんじゃ、熱中症になっちゃうよ…」

用務員の仕事は、田中が想像していた以上に多岐に渡り、忙しかった。
今は夏休みとは言え、当然ながら教員達は出勤しており、保護者会や研修、部活の指導等に明け暮れている。
そして田中も、掃除、洗濯、ゴミ出し、花壇の水やり、設備の点検・交換…そして、夏の間に生い茂った草を刈る毎日を奔走していた。

会社員時代と違い残業は無いが、教育機関という独特の堅苦しさと慣れない環境も手伝って、精神的な疲労が溜まって行く。

しかし、愚痴など吐ける立場では無いことも承知していた。
この先どうなるかは分からないが、今はただ、与えられた仕事を粛々とこなしていくより他無い。

田中はひと息つき、草取りに戻ろうと重い腰を上げたその時、用務員室に一人の教師が現れた。

「よぉ…お疲れさん。その格好もだんだん板についてきたんじゃねぇか?」

作業服姿の田中を見てそう言ったのは、本山だった。

「も、本山先生っ…お疲れ様です。今日は部活ですか?」

「おう。今自主練させてるんでな。田中さんがちゃんと仕事してるか偵察に来たってワケよ…なんてな。ちょっと入ってもいいか?」

「はっ…はい、どうぞどうぞ!」
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