この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色

「これ、良かったらどうぞ…」
田中は本山に麦茶を差し出す。
「おぅ…ありがとさん。しかしアレだな、今年の暑さはやべぇなぁ。まぁ、毎年言ってる気がするが……」
「そう…ですね………あのっ…」
「…ん?どした?」
「あっ……亜美ちゃんはっ…その後…お元気なんでしょうか……」
田中の質問に、本山は遠い目をして、しばし黙り込む。
「………元気かどうかは分からんが、とりあえず無事に生きてる。腹はだいぶ目立って来てるがな。俺もほぼ毎晩、地下室の掃除にあの家を出入りしてるんだが…まぁ、相変わらずだ。奴ら、妊婦だろうがヤリたい放題、関係ねぇって感じでな。いや、寧ろエスカレートしてる。だからいつも俺が行く頃には、グッタリしてるよ…」
「そう…ですか………」
「それよりお前さんとこ、例の次男はどうだ?少しは働く兆しはありそうか?」
例の次男、とは、慎二のことだ。
新堂の策略により武田家を追い出された慎二は、今は田中のアパートで生活している。
「…はい。し、師匠…じゃなかった慎二さんは相変わらず…日中はずっと寝ているみたいで。夜中になると、たまにフラッと出かけていくこともあるんですが…とりあえず、本人もまだ現実が受け入れられて無いって言うか…まぁ、そんなこと言ったら僕もそうですけど…」
「…そうか。まぁ無理もない。金は…生活費は大丈夫なのか?」
「ええ。今のところは…慎二さん、家からは無一文で追い出されてますけど、その…例の亜美ちゃんの動画で稼いだ金が幾らかあるみたいで…」
「…なるほどな。何やかんや俺達、亜美のお影で食わせてもらってんだな。情けねぇもんだ」
「あの…本山先生は最近…亜美ちゃんとは…?」
「…ん?ああ。一応、新堂さんの情けでな。たまにおこぼれは頂いてるが……すまんな。お前さんからしちゃあ、納得行かない話だろ?」
「い、いえっ…そういう意味では無く…」
「…だが、俺もいつ、お前さんやあの武田家の男達のようになるかは分からん。新堂さんのさじ加減ひとつだ。現に、運営側に新しい奴が一人増えてな。今後そいつがあの病院を仕切って行くことになるらしいんだが……」
本山は少し間を置いた後、田中にこう言った。
「これはあくまで仮の話なんだが………」
田中は本山に麦茶を差し出す。
「おぅ…ありがとさん。しかしアレだな、今年の暑さはやべぇなぁ。まぁ、毎年言ってる気がするが……」
「そう…ですね………あのっ…」
「…ん?どした?」
「あっ……亜美ちゃんはっ…その後…お元気なんでしょうか……」
田中の質問に、本山は遠い目をして、しばし黙り込む。
「………元気かどうかは分からんが、とりあえず無事に生きてる。腹はだいぶ目立って来てるがな。俺もほぼ毎晩、地下室の掃除にあの家を出入りしてるんだが…まぁ、相変わらずだ。奴ら、妊婦だろうがヤリたい放題、関係ねぇって感じでな。いや、寧ろエスカレートしてる。だからいつも俺が行く頃には、グッタリしてるよ…」
「そう…ですか………」
「それよりお前さんとこ、例の次男はどうだ?少しは働く兆しはありそうか?」
例の次男、とは、慎二のことだ。
新堂の策略により武田家を追い出された慎二は、今は田中のアパートで生活している。
「…はい。し、師匠…じゃなかった慎二さんは相変わらず…日中はずっと寝ているみたいで。夜中になると、たまにフラッと出かけていくこともあるんですが…とりあえず、本人もまだ現実が受け入れられて無いって言うか…まぁ、そんなこと言ったら僕もそうですけど…」
「…そうか。まぁ無理もない。金は…生活費は大丈夫なのか?」
「ええ。今のところは…慎二さん、家からは無一文で追い出されてますけど、その…例の亜美ちゃんの動画で稼いだ金が幾らかあるみたいで…」
「…なるほどな。何やかんや俺達、亜美のお影で食わせてもらってんだな。情けねぇもんだ」
「あの…本山先生は最近…亜美ちゃんとは…?」
「…ん?ああ。一応、新堂さんの情けでな。たまにおこぼれは頂いてるが……すまんな。お前さんからしちゃあ、納得行かない話だろ?」
「い、いえっ…そういう意味では無く…」
「…だが、俺もいつ、お前さんやあの武田家の男達のようになるかは分からん。新堂さんのさじ加減ひとつだ。現に、運営側に新しい奴が一人増えてな。今後そいつがあの病院を仕切って行くことになるらしいんだが……」
本山は少し間を置いた後、田中にこう言った。
「これはあくまで仮の話なんだが………」

