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セイドレイ【完結】
第40章 蚊帳の外の景色
「これ、良かったらどうぞ…」

田中は本山に麦茶を差し出す。

「おぅ…ありがとさん。しかしアレだな、今年の暑さはやべぇなぁ。まぁ、毎年言ってる気がするが……」

「そう…ですね………あのっ…」

「…ん?どした?」

「あっ……亜美ちゃんはっ…その後…お元気なんでしょうか……」

田中の質問に、本山は遠い目をして、しばし黙り込む。

「………元気かどうかは分からんが、とりあえず無事に生きてる。腹はだいぶ目立って来てるがな。俺もほぼ毎晩、地下室の掃除にあの家を出入りしてるんだが…まぁ、相変わらずだ。奴ら、妊婦だろうがヤリたい放題、関係ねぇって感じでな。いや、寧ろエスカレートしてる。だからいつも俺が行く頃には、グッタリしてるよ…」

「そう…ですか………」

「それよりお前さんとこ、例の次男はどうだ?少しは働く兆しはありそうか?」

例の次男、とは、慎二のことだ。
新堂の策略により武田家を追い出された慎二は、今は田中のアパートで生活している。

「…はい。し、師匠…じゃなかった慎二さんは相変わらず…日中はずっと寝ているみたいで。夜中になると、たまにフラッと出かけていくこともあるんですが…とりあえず、本人もまだ現実が受け入れられて無いって言うか…まぁ、そんなこと言ったら僕もそうですけど…」

「…そうか。まぁ無理もない。金は…生活費は大丈夫なのか?」

「ええ。今のところは…慎二さん、家からは無一文で追い出されてますけど、その…例の亜美ちゃんの動画で稼いだ金が幾らかあるみたいで…」

「…なるほどな。何やかんや俺達、亜美のお影で食わせてもらってんだな。情けねぇもんだ」

「あの…本山先生は最近…亜美ちゃんとは…?」

「…ん?ああ。一応、新堂さんの情けでな。たまにおこぼれは頂いてるが……すまんな。お前さんからしちゃあ、納得行かない話だろ?」

「い、いえっ…そういう意味では無く…」

「…だが、俺もいつ、お前さんやあの武田家の男達のようになるかは分からん。新堂さんのさじ加減ひとつだ。現に、運営側に新しい奴が一人増えてな。今後そいつがあの病院を仕切って行くことになるらしいんだが……」

本山は少し間を置いた後、田中にこう言った。

「これはあくまで仮の話なんだが………」
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