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セイドレイ【完結】
第43章 箱庭
「ご…ごめん……なんでだろっ…萎えちゃった……ちょ、ちょっと待ってて…」
「……大丈夫?ちょっと休憩しましょうか?」
「ごめん…本当にごめんよ……トイレ行ってくる…」
「……はい」
とあるラブホテルの一室に、一組のカップルの姿がある。
健一と律子。
半年後に結婚式を控えた二人は、この日初めて『夫婦の営み』を実践するため、ここへ来ていた。
夫婦…と言っても、まだ籍は入れていない。
結婚記念日を自身の誕生日にしたいとの律子の申し出により、入籍はもう少し後になる。
結婚式の日取りも決まり、二人で暮らす新居についても、ひとまず律子が自社で所有する幾つかの物件の中から選ぶことになりそうだ。
健一は仕事の後や非番の日をほぼそれらの準備に費やしていた。
律子の隣でただ頷いているだけで、あっという間に時間が過ぎ去ってしまう。
だんだん慣れては来たものの、同時にもう後戻り出来ないという乾いた絶望が健一を手招きしていた。
そしてたった今、律子の女性器に初の挿入を試みた健一だったが、それは失敗に終わってしまったようだ。
やや不満そうにベッドに横たわる律子を尻目に、健一はスマホを手にするとトイレに入った。
「はぁ……何となくそんな気はしてたけど……やっぱ無理だ。無理無理無理…」
便座に腰掛け、健一は頭を抱える。
直前までは、十分な硬さでは無いにしろ、まだ何とかなりそうだった。
性欲ももちろんある。
しかし、いざゴムを装着しようとして手間取っているうちに、健一のイチモツはみるみるうちに生気を失ってしまったのだ。
その後、何度かトライしてみるものの、一度萎んだ息子が再び膨らむことは無かった。
そもそも健一は、今日までコンドームすらろくに装着したことが無かった。
その理由は、その必要が無かったからだ。
亜美で筆下ろしをした健一にとって無縁の存在だった避妊具。
当然、コンドームを携帯している筈もなく、ホテルに備え付けのものを使用してみるも、健一のペニスに被せるにはゴムのサイズが小さく、装着すらままならないという有様だった。
しかし、慣れないゴムの質感のせいだけでは決して無いことを、健一自身が一番よく分かっていた。
「畜生……やっぱり俺は、亜美じゃなきゃ……」
ここにも一人、肉欲に溺れた日々の後遺症を患う男が居たのだ。
「……大丈夫?ちょっと休憩しましょうか?」
「ごめん…本当にごめんよ……トイレ行ってくる…」
「……はい」
とあるラブホテルの一室に、一組のカップルの姿がある。
健一と律子。
半年後に結婚式を控えた二人は、この日初めて『夫婦の営み』を実践するため、ここへ来ていた。
夫婦…と言っても、まだ籍は入れていない。
結婚記念日を自身の誕生日にしたいとの律子の申し出により、入籍はもう少し後になる。
結婚式の日取りも決まり、二人で暮らす新居についても、ひとまず律子が自社で所有する幾つかの物件の中から選ぶことになりそうだ。
健一は仕事の後や非番の日をほぼそれらの準備に費やしていた。
律子の隣でただ頷いているだけで、あっという間に時間が過ぎ去ってしまう。
だんだん慣れては来たものの、同時にもう後戻り出来ないという乾いた絶望が健一を手招きしていた。
そしてたった今、律子の女性器に初の挿入を試みた健一だったが、それは失敗に終わってしまったようだ。
やや不満そうにベッドに横たわる律子を尻目に、健一はスマホを手にするとトイレに入った。
「はぁ……何となくそんな気はしてたけど……やっぱ無理だ。無理無理無理…」
便座に腰掛け、健一は頭を抱える。
直前までは、十分な硬さでは無いにしろ、まだ何とかなりそうだった。
性欲ももちろんある。
しかし、いざゴムを装着しようとして手間取っているうちに、健一のイチモツはみるみるうちに生気を失ってしまったのだ。
その後、何度かトライしてみるものの、一度萎んだ息子が再び膨らむことは無かった。
そもそも健一は、今日までコンドームすらろくに装着したことが無かった。
その理由は、その必要が無かったからだ。
亜美で筆下ろしをした健一にとって無縁の存在だった避妊具。
当然、コンドームを携帯している筈もなく、ホテルに備え付けのものを使用してみるも、健一のペニスに被せるにはゴムのサイズが小さく、装着すらままならないという有様だった。
しかし、慣れないゴムの質感のせいだけでは決して無いことを、健一自身が一番よく分かっていた。
「畜生……やっぱり俺は、亜美じゃなきゃ……」
ここにも一人、肉欲に溺れた日々の後遺症を患う男が居たのだ。