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セイドレイ【完結】
第44章 鏡
その頃地下室では、揉み合いになっていた新堂と菅原の決着がついていた。

「ぐっ...!あんた、おっさんの割にはっ.....うっ...なかなか...やるじゃないですかっ.....ぐぁっ...!?」

「...ふははっ。私も耄碌したと思っていたが.....曲がりなりにも昔は武道を嗜んでいてね.....ふぅ.....それに、君のようなオカマ野郎には...負けるわけにはいかないんでなっ!」

「あがっ!?ああああっ...!!!!ちっ...畜生.....」

新堂は菅原を床に押さえつけると、その上にのしかかり動きを封じていた。



「...いやぁ~お見事です。さすがは新堂先生。なんでも出来ちゃうんですねぇ?」

菅原がその声のする方に目をやると、そこには酒井が立っていた。

そして、その横にはーー、

「...あっ...亜美っ!?...クソっ...逃げられなかったの...かっ.....」


酒井の横で、片頬を赤く腫らし、ぼう然と立ち尽くす亜美の姿があった。


「...やぁ、酒井君。君を連れて来ていて本当に良かったよ。私一人では亜美に逃げられていたかもしれないからねぇ」

「またまたご冗談を。こんなナヨナヨしいオカマ野郎と小娘一匹くらい、新堂さん一人でも十分だったはずですよ?」

「ははは...。私が信頼できるのは酒井君、もう君しか居ない。今後の力仕事はこんな年寄りじゃなく、君にお願いしたいもんだなぁ」

「もちろんですとも。それより、お詫びしなければいけないことが。亜美の顔を殴ってしまいましてね。女は一発ぶん殴れば大人しくなると...つい悪い癖が出てしまいまして...」

「...構わんよ。たまには立場ってもんを思い知らせておく必要がある。ご苦労だった。さて.....」

新堂はそう言うと立ち上がり、菅原の頭部を足の裏で踏みつけた。

「ぐっ...!やめ...ろっ.....」

「...茶番は終わりだ。これからゆっくり時間をかけて、ひとつひとつ尋問していくとしようか。なぁ?お二人さん。幸い、酒井君という取り調べのプロも居るしねぇ。...そうだ、こういう時はカツ丼でも出前で取るべきなのかい?」

「ふっ...新堂先生、それはドラマの見過ぎですよ...」

新堂と酒井の卑劣な笑い声が、深夜の地下室にこだまする。

それは本当の地獄の幕開けを意味する合図かのようだったーー。
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