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セイドレイ【完結】
第45章 男達の晩夏
雅彦の提案を聞いた4人は黙り込む。

あくまで新堂を脅す材料、ということではあるが、場合によっては実行される可能性があるということだ。

そうなれば雅彦をはじめとして、この場に居る全員の罪が世の中に曝されることになる。

全ての原因を作った張本人である雅彦はその覚悟ができているのだろう。今や病院も家も財産も失い、年齢的にも黄昏時を迎えた彼は自分の罪を償う準備ができているのかもしれない。

しかし他の4人には、正直なところまだその覚悟は無かった。
このままではいけない、とは思いつつ、いざ手錠を掛けられることを想像すると、どうしても保身に走ろうとしてしまう。


「...そもそも、産まれた子供ってどうするつもりなんだ?まさか地下室で育てる訳には行かないだろ?それに...新堂のおっさんのことだ、絶対に裏がある。仮に親父の作戦が上手く行ったとしても、その先のことまで考えてやらないと、結果的に傷付くのは亜美だろ...?」

健一は雅彦にそう問いかけた。
まさか、産まれた子が悪徳な養子斡旋団体によって海外に売り飛ばされることになろうとは、ここに居る5人は知らないのだ。

「...ああ。現在、亜美の未成年後見人はワシになっている。子供が産まれたら、父親不明の私生児として戸籍を作ってやらなきゃならないが...新堂がすんなりそんな手筈を踏むとも思えん。それ以前に無事に産まれてくる確証すらない。産ませる気が本当にあるのかさえ疑わしい。だからこそ、子供が生まれる前に何としてでも亜美をあの地下室から解放してやらなければならない。それが亜美の願いだ。ワシらが罪を償うとするならばその後にすればいい」


『亜美の願い』


その言葉が、5人に重くのしかかる。
そして、『償い』という言葉の意味ーー。


「...分かった。親父の好きなようにしろよ。さすがにこの期に及んで、亜美に許してもらおうなんて俺も思っちゃいねえし。このまま新堂さんの思い通りになるのも癪だしな。とにかく、亜美が無事に出産できるようにする。そんで、産まれた子供と亜美が生きて行けるような環境を俺達が作る。そこまでやって初めて、罪を償う資格がもらえる...親父が言いたいのはそういうことだろ?」

健一は、雅彦の胸の内を理解したようだった。
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