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セイドレイ【完結】
第45章 男達の晩夏
「...だからぁ!この地図んとこ、ここばーさんの家だろ?ここにしるしがついてんの!つまり電源が入った証拠、って.....あれ?」

トメにGPSの座標を見せて説明していた本山の動きが止まる。

「表示が...消えやがった。ってことは、電源が切られたってことか...?お、おい、ばーさん!どういうこったこれ!?確かにここにあるのは間違いないのにっ...もしかして、家ん中に誰かがっ...?」

本山がうろたえている側で、雅彦は玄関に並んでいる靴に目が止まる。
メンズ物のスニーカー。
しかも、若い年齢層が好んで履くようなデザインだ。

「...しつこいねぇ。無いもんは無いって言ってるだろうに?これ以上訳分からんこと言うなら、お巡りさん呼ぶよ!」

トメが痺れを切らし、本山にそう言い放つ。

「ぐっ...ぐぬぬっ...畜生、確かにここにあるはずなのに.....」

「...本山先生。もういい。...お婆さん、突然不躾なことを言ってしまってすいませんでした。どうやらこちらの勘違いだったようです。さ、皆。引き上げるぞ」

「で、でも.....」

突然話を切り上げようとする雅彦に、本山は困惑した表情を浮かべる。
何よりあのスマホは本山の名義なのだ。
本山としては、一刻も早く手に入れたいところだったのだがーー。



トメの家を後にした5人は車に乗り込む。

「...武田さん、どうして引き下がったんですか?あのばーさんが持ってることは確かなんすよ?...スマホがあれば、これからやろうとしていることに役立つかもしれないってのに...」

本山は、雅彦の対応に不満を口にする。

「...すまない。だが大丈夫だ。スマホの件はワシに任せて欲しい。...とにかく、この計画の失敗は許されない。状況を見て、決行日は追って連絡する。それまでは各自、自分の役割を果たしてくれ。特に、本山先生と田中さん、御二方の協力には心から感謝している。きっと上手くいくと信じている」


亜美の奪還計画とスマホの所在。
各々、止まっていた時間が一斉に動き出すのを感じていた。

運命は今度こそ、亜美に微笑みかけるのだろうか、それともーー。
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