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セイドレイ【完結】
第48章 罪と罰
「そ、そんなっ...!?待てよ、ここは日本だぜ??そんなことが有り得るなんて...」

「ワシもそう思う。しかし、それを上手く隠すための団体まで立ち上げている。とにかく、スマホの存在が新堂にバレた以上、亜美の身が危うい。現に、新堂は地下室に新しい鍵を取り付けた。今から行ってワシらが亜美を無理矢理連れ出すことも出来んのだ。慎重に事を運ぼうとしたのが裏目に出た。ならばいっそ...」

動画を『セイドレイ』に公開するということは、あくまで新堂との取引が拗れた場合の最終手段だったはず。

しかし、現状を考えると、もはやそうするしか亜美を救う手立ては無いと、雅彦は踏んだのだ。

「...ここに、本山先生が入手した録画データがある。一部ではあるが、この分と亜美がこれまで集めていた動画を全てアップロードする。会員達の詳細が不明なものもあるだろうが、それは動画を観た特定班がやってくれるだろうと期待するしか無い。慎二、やれるか?」

「...そっか」

慎二はそう呟くと、少しの間を置いてこう応えた。

「...今日さ、面接受けた会社から...内定の通知が来たんだよね。何十社か受けて、やっと...。亜美が言ってくれたことを信じて、俺なりに頑張ってやっと掴んだチャンスだったんだ...」

「し、慎二...」

「...でも、俺にとって一番大事な仕事が入っちまった。『亜美のご主人様』っていう仕事がさ。そして最後の仕事だ。...親父、俺やるよ。早速、今からデータを持ち帰って編集する。亜美が集めた分のデータを先に公開して、それ以外もできるだけ順次アップすればいいだろ?」

「お前.......」

すると田中がそれに続く。

「...さすが師匠だ。僕も大丈夫です。もう覚悟は...出来ています」

「田中君...すまない...」


果たして、『セイドレイ』に動画を公開することで、社会的影響はどれ程のものになるのか。
4人には想像もつかなかった。

亜美の痴態と共に、会員達の性犯罪の記録が全世界に晒されるということになれば、いくら警視庁公安部の酒井とて揉み消すことは不可能であろう。
当然そうなれば、動画には映っていなくとも、雅彦らに捜査が及ぶに違いない。

一度、公開ボタンをクリックしてしまえば、もう元の日常には戻れない。

全ては亜美を救うため。
そして、亜美への償いのため。
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